実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

詐欺

中国のソーシャルレンディングで巨額詐欺被害発生 ー日本は大丈夫か?ー

国内のネット系メディアでも取り上げられているのですでに目にされている方も多いかと思いますが、中国のソーシャルレンディング企業であるEzubao(海外記事では「ソーシャルレンディング」ではなく「P2Pレンディング」という表記になっています)が詐欺で告発されています。恐ろしいのはその被害規模で、Lend Academyの記事によると実に$7.6B、9000億円とのことです。被害者の数も90万人にのぼり、中国では史上最大の金融詐欺事件としてテレビ・新聞でトップニュースで取り上げられているようです。規模としては、米国の大型金融詐欺として有名なバーナード・マドフの事件に、被害金額は届かないものの被害者総数では上回るという「超」がつく大型の詐欺事件です。今回のEzubao事件はマドフ事件と同じくいわゆるポンジースキームで、投資家から集めた資金を別の投資家の配当にあてるという古典的な手法が取られています。

マドフの際には運用益として「10%を上回る配当」が謳われていましたが、今回のEzubaoでは「9%-15%の配当」が謳われていました。

国内に配信されている記事では「中国最大のソーシャルレンディングサービス」となっているものが多いですが、Lend Academyの記事では「one of the top 10 largest P2P lending platforms in China(中国のP2Pサービス上位10社の1つ)」という表現になっています。表現に差はありますがいずれにしてもかなり大手のサービスであることには間違いないようです。報道によると既に関係者21人が逮捕されておりサービスは停止しているようです。

今回の事件の背景としてLend Academyの記事では中国状況について以下の通り触れています。
it is too easy to start a P2P lending platform there. You need just US$1,000 to create a smartphone app, then obtain a very inexpensive business telephone license and you can be up and running.
意訳すると「$1000(約12万円)あればP2Pのアプリが作れて、事業用の電話回線も簡単に入手できるので誰でも簡単にP2Pサービスが始められる」といった状況があるようです。

1社が詐欺だからといって他の企業も詐欺の可能性が高いとは言い切れませんが、そうした状況と中国のソーシャルレンディング・バブルを合わせて考えると他のサービスでも同等の問題がある企業がある可能性は無視できないと思われます。

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翻って、日本国内での状況を考えるとさすがに中国と比べると金融当局の監視はそれなりに機能していると期待?できそうには思います。ただし、金融当局が監視対象にするのはあくまでも第一種あるいは第二種金融商品取引業として登録されている運営企業なので、運営企業の親会社が監視対象になっていない場合はその限りにはありません。
日本のソーシャルレンディング企業には詐欺がないと思いたいところではありますが、「絶対ない」とは断言できないのは事実です。詐欺であるリスクも考慮して投資先の運営企業についてしっかり調べる必要があるのは間違いありません。これまでにも何度も触れていますが、第三者にチェックされる仕組みを取り入れている企業しっかりと企業情報の公開を行っている企業を見極めて投資していくことが重要です。

運営各社にはこれまで以上に積極的な企業情報の開示と第三者によるチェック機構の導入をより一層強く期待したいです。特に一向に情報開示が進まない例の会社には。

MRIインターナショナル事件に学ぶ

ご存知MRIインターナショナルについて考えてみたいと思います。

事件の概要はご存知のかたが多いと思います。米国の診療報酬請求債権を買い取って回収する「MARS投資」で年率6.0%〜8.5%を謳って1300億円を集めたが2013年に破綻しました。Wikipediaのリンクはこちら
「MARS投資」は、日本人には馴染みがない米国の医療制度を背景とした投資手法で、いかにも「そういうのがありそう」と思わせる絶妙な内容だと思います。

この事件で気になったポイントをリストしてみます。

・1998年創業、破綻まで実に15年生き延びた
・本社が米国に登記されており、日本は支店の扱いだが第二種金融商品取引事業として登録、関東財務局に毎年虚偽の事業報告書を提出していた。その報告書は後に証券取引等監視委員会が「ずさんな内容」と指摘しているが関東財務局は見抜けなかった
日本支店の幹部や社員も事業内容を信用して自身の資産を投資していた。不正は米国本社の社長が主導していたとみられる

他にも
・著名人を広報活動に利用していた
・為替変動が発覚のきっかけにつながった
・大手投資家を米国に招待したり利回りを優遇したりすることでより多くの投資を引き出した
等々、特徴的なものが少なくありません。

また、こちらの記事のように「私は当初からアヤシイと思ってました」的な記事も少なくないですが、かといって発覚前にそれを明確に指摘している記事は必ずしも多くありません。例えば先程の記事の記者の名前と「MRIインターナショナル」で検索しても特に事前にそれを指摘している記事はでてきません。アヤシイと思ってても、発覚するまでは公には言わないものなのでしょうね、きっと。

この事件で教訓として得られるものは

・第二種金融商品取引業としての登録は「詐欺ではない」を意味しない。特に関東財務局は担当が多すぎてチェックしきれない。
 これは以前記事にしたとおりに関東財務局の方もある程度認めざるを得ない状況だと思います。
 この状況に対応するには、万一詐欺的行為を見逃すと自社の損失につながる外部の第三者からチェックを受けていることが重要です。大手企業からの出資を受けていたり(つまりチェックも受ける事になります)、監査法人のチェックを受けていればある程度この点はクリアできるのではないかと考えています。

・投資家が普段接している運営会社の社員は、万一詐欺的な企業であってもそれを知らずに行動している可能性がある。
 AIJ投資顧問事件でも同じでしたが、特定のごく一部のメンバー、通常はその企業の社長か親会社の実力者になると思いますが、そのごく一部のメンバーのみで詐欺的行為を首謀している場合、投資家と接している社員は何ら悪意なく募集活動を続けている可能性がある、ということです。
 この状況に対応するのはかなり難しいです。その企業の社長と話しても(先方はそもそもだますつもりなので)嘘を見抜くのは容易では無いでしょうし、実権が親会社にある場合は面会することすらままなりません。せいぜいできるのは、誰が実質的な経営者なのかを見極めて、その人物の背景を確認するくらいしかないのではないでしょうか。それですべてわかるわけではないでしょうが、多少は判断材料になると思います。
 運営企業の資本構成や役員の経歴が公開されているかどうか、というのはこの点を確認する上で重要だと思っています。もちろん限度はありますが、それでもないよりはマシ、というところでしょうか。

ソーシャルレンディング企業は第二種金融商品取引業の登録が必要で、本問題のあった2013年以降に登録している場合はより厳しいチェックがなされているとは思いますが、それでも万全ではないというつもりで臨む必要があります。ソーシャルレンディング企業が採用している匿名組合という仕組みは、銀行業や証券業はもとより、投資信託とくらべても相当緩い基準なのは間違いありません。投資家自身が個々の企業をチェックする姿勢が求められていると思います。
またソーシャルレンディング企業には、第三者のチェックを受ける姿勢や資本・役員構成の公開をより進めていって、投資家が判断しやすい環境を作っていただきたいと期待しています。

なおMRIの件は、クラウドクレジットの杉山社長も以前ブログで取り上げて(投資型クラウドファンディングの留意点(MRIインターナショナルの例から))運営サイドの視点から問題点を指摘されていますので興味ある方はご覧ください。

「第二種金融商品取引業者に対する検査の現状について」

第二種金融商品取引業者に対する検査の現状について」という関東財務局の方が第二種金融商品取引業協会(こんな協会あるんですね、知りませんでした・・・)のイベントで発表した資料をネットでたまたま見つけました。証券取引等監視委員会の検査というと何か問題があった時くらいしか気にしないですが、この資料は全体的な方針や動向についてまとまっていてなかなか興味深いです。前回のAIJ事件の記事で、「証券取引等監視委員会の検査の検査で何かしらの不正が見つかる割合は1割程度」という趣旨の記載をしましたが、その情報源もこの資料です。資料で気になったところをいくつか紹介します。

関東財務1
この表は年間の検査総数(証券取引等監視委員会や各財務局の合計だと思われます)の推移です。もともと第一種金融商品取引業の検査が中心だったのが、H25年度から第二種の検査に重点が移りつつあるように見えます。第二種金融商品取引業として登録していたMRIインターナショナルの不正が明らかになった時期と一致しています。ただ、第二種は第一種と比べると企業数が5倍近くカバレッジという面ではどうしても追い付いていないですね。


関東財務2


検査の結果、法令違反が見つかる割合がこちらで確認できます。全体で183社の検査で15社、第二種の場合60社(先ほどの検査実績の表から抜粋)に対して5社、いずれも8%程度です。


関東財務3


第二種の法令違反5社については、実際の社名と違反内容、処分内容が記載されています。うち1社は以前の記事で取り上げた「おひさまエネルギーファンド」でした。ここでは簡素な記載になっていますが、実際は集めた資金を別のファンドの配当に回すという投資家にとっては耐えられない行為でした。


関東財務4
こちらは「最近の主な指摘事項」というスライドからの抜粋です。外から見るだけではこういった情報は把握できないので、検査実施によりあぶりだしてもらうことの意義がいかに大きいかが実感できます。

関東財務5

業界団体向けのプレゼンなので、最後のスライドでこのメッセージがありました。

ソーシャルレンディング各社は第二種金融商品取引業として登録されていますので、検査を受けて問題の有無を確認されることを期待できます。一方で、検査の要員が増えカバレッジが急に上がることがなければ、第二種1200社以上の登録業社数で検査実施が年間100社程度なので単純計算で10年に1回程度しか検査を受けません。クラウドバンクのみ第一種にも登録されているので検査の頻度はより増えますがそれでも3−5年に1回程度でしょう。やはり、プレゼンターのメッセージあるとおり、企業自身が継続的に点検を実施し公表する姿勢が重要です。特に第三者の検査・監査とその公表は投資家にとって非常に重要です。また、親会社が金融商品取引業として登録していないようなケースでは、自発的に第三者の検査を受けない限りチェックを受けることがなく、AIJの件よりも不正が発覚しにくい体制であるというリスクがありそうです。現状のソーシャルレンディングでは個別案件のリスクよりも、運営企業の破綻や詐欺のリスクのほうが圧倒的にダメージが大きいため、この問題はかなりクリティカルです。

当面の投資方針としては、親企業が上場企業であるSBIソーシャルレンディング、伊藤忠やマネックスの資本を受け入れて第三者のファンド監査を計画しているクラウドクレジット、監査法人による有価証券報告書を公開しているクラウドバンクに絞っていこうかと思っています。他の会社も積極的に情報公開を進めていただくことを期待しています。
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