実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

行動経済学

2017年、新年明けましておめでとうございます

みなさま、新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。



・・・って、年明けてからもう3週間以上経ってますね。 前回の記事からも3ヶ月以上空いてしまいました。

今日ちょっとしたきっかけで何ヶ月かぶりに日本ブログ村のソーシャルレンディングのページ見たら40以上のブログが登録されていてビックリしました・・・。ソーシャルレンディングを紹介するブログもかなり増えてきたので弊ブログが当初目指していた役割はそろそろフェードアウトしてもよさそうかな、と。もう以前のようにサービス別の収支実績なんかはまとめなくても良さそうです(もちろん個人用には継続して管理しますが)。

本当のところはいろいろ忙しくていろいろ調べてブログの記事を書く時間が取れない、というか気力が持たないのが大きいです。本業の方で1年半前に一人で始めた米国ベンチャーの日本の立ち上げがそれなりに上手く進んでおり、昨年後半には国内5名の体制になりました。今年もうまく行けば米国本社の出資の追加ラウンド(ラウンドC)があると思うので、そうすれば国内の人員をさらに追加できそうです。

投資に関しては、昨年の全体的な成績は年末のトランプラリーのおかげもありまずまずの結果となりました。一方ソーシャルレンディングに関してはざっくり年間80万円くらいの配当収入で、目標としていた100万円に到達できませんでした。理由はいろいろあるのですが、大きいところではレンディングクラブのリターンが思った通り推移しなかったことと、配当や還付金があっても忙し過ぎて再投資しきれずに現金のまま口座に放置してしまっていたのが響いた結果です。レンディングクラブの件は、時間が取れれば記事にしたいなぁと思っています。

ソーシャルレンディング以外のトピックスでは、昨年は株式のバクチ枠が好成績でした。
10年位前に出資した知人の会社がとうとう上場を果たしました。祝。加えて、バクチ枠で持ってるUS株で一番投資金額の大きい銘柄がM&Aの対象となり、一夜で株価が30%跳ね上がるという経験をすることができました。一方レンディングクラブ株はCEO辞任もあってぱっとしませんでしたが、全体としては十分過ぎる好成績でした。

他に、直接的な投資の話ではありませんが、知人にお金貸して期限を過ぎても返済してもらえなかったのが、弁護士経由の請求で昨年全額完済まで至った話なんかはP2Pレンディングへ投資する際に参考になりそうな経験でした。

比較的最近の話題だと正月休みに『超予測力』を読んだんですがなかなか面白かったです。予測精度の向上に行動経済学の知見を活用していくのがメインの主旨ですが、最も参考になったのはなぜメディアで取り上げられている人の予測が参考にならないか、というのが理解できたところですかね。カーネマンの『ファスト&スロー』やタレブの『まぐれ』『ブラック・スワン』が好きな人にはオススメです。

超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条
フィリップ・E・ テトロック
早川書房
2016-10-21


ということで、ブログで紹介したいネタはいろいろあるんですが、来週にはマーケティング系のイベントが控えており、それが終わったら1週間米国出張、帰ってきたら確定申告、となかなかハードな日程が続きます。次に記事をアップが出来るのはいつになるのやら。

 

『行動経済学の逆襲』

3月の映画「マネーショート」のエントリーで触れたリチャード・セイラーの新著『Misbehaving』の訳本がやっと出版されました。

行動経済学の逆襲 (ハヤカワ・ノンフィクション)
リチャード・セイラー
早川書房
2016-07-22


しかし何故かタイトルが『行動経済学の逆襲と元のタイトルとは大違い。前作の『実践行動経済学』も元タイトル『Nudge』のニュアンスが伝わりきれない気がしましたが、今回のよりはマシ。翻訳はいずれも遠藤真美という方なのですが、この方の嗜好なのでしょうか、それとも出版社の意向なのでしょうか。どちらにしてもあまり売れそうにないタイトルですね。

内容は、行動経済学の第一人者であるリチャード・セイラーが自身のこれまでの研究者人生を振り返る形で、行動経済学との関わりや規範型経済学との軋轢の歴史、その後英国政府の政策へ影響をあたえていくまでになった流れについて触れられています。全体的にうっすらとアカデミックなトーンが覆っていますが、取り上げている逸話や研究の対象が砕けた感じのものが少なくなく最後まで興味を維持して読むことが出来ました。

損失回避、保有効果、メンタルアカウンティング、自信過剰といった行動経済学の主要なトピックについても説明されていますが、特に目新しい理論が紹介されているわけではありません。というかダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』読んでるのが前提になっているような書きっぷりです。

読みどころはいくつかありますが、資産運用面で参考になるのは効率的市場仮説の限界について触れられているところでしょうか。市場におけるアノマリーやミスプライシングといった事象について裏付けとなるデータやグラフが提示されているのですが、加えてその背景となる人間の思考の癖(バイアス)について考察されており、市場は必ずしも完全ではなく時に間違うことがあることをより強く認識させられます。ということは、この間違いや思考の癖を突き詰めていくことができれば「市場に勝つ」ことも可能なはずですが、問題は「市場が間違っていることが分かってもそれがいつ訂正されるかがわからないと稼ぐことが出来ない」という事実です。ミスプライシングの典型例としてバブルがありますが、いち早くバブルと気付いて空売りができたとしてもそのバブルがいつ弾けるかが分からないと、自分の資金が先に付きてしまったり最悪のケースでは自分が生きている間はずっとバブルが弾けない可能性すらありえます。「訂正されるタイミングが分からなくても市場が間違っていることが分かっているだけ稼ぐことの出来る戦略」はないものでしょうか。それが見つかるまではキャピタルゲイン狙いで継続的に市場に勝つのは諦めてせめて市場と同等のパフォーマンスを得られるようにインデックスファンドでの運用を続けようと思います。

行動経済学と資産運用については、ほぼ1年前のエントリーですが
「行動経済学で考えてみる ー インデックス投資に適しているのは?「投資信託 vs ETF」と「ドルコスト平均法 vs バリュー平均法」(1)」
「行動経済学で考えてみる ー インデックス投資に適しているのは?「投資信託 vs ETF」と「ドルコスト平均法 vs バリュー平均法」(2)」
あたりを見てみて下さい。もし多少なりとも興味引くようであれば、ぜひダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」を読んでみてください。資産運用にも参考になること請け合いです。



 

突然吹っ飛ぶ系の投資商品

少し前にナシーム・ニコラス・タレブの「まぐれ」を再読していたいのですが、興味深い記載がありました。
第3章で出てきた歯医者はボラタリティが嫌いだった。変動率が高いとひどい苦しみを頻繁に感じるからだ。自分のパフォーマンスを頻繁に調べれば調べるほど、変動性を高い解像度で見ることになり、苦しみも大きいのだった。だから投資家たちは、ただただ情緒的な理由で、変動する時には大きく変動するけれど、極稀にしか変動しない投資戦略にひきつけられてしまうのだ。
(中略)
市場参加者は損失の回数が少ないのを好み、利益の回数が多いのを好む。全体としてのパフォーマンスの最適化を考えるわけではない。
(ナシーム・ニコラス・タブレ「まぐれ」143ページより引用)

これってソーシャルレンディングにもまんま当て嵌まる警句ですね。

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
ナシーム・ニコラス・タレブ
ダイヤモンド社
2008-02-01




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順調な時はボラタリティが低く安定的なのに、突然前触れなく大幅な損失を出す投資商品があります。例えば、スワップポイント狙いのFXや高金利狙いの新興国債券やジャンク債、オプションの売りなんかは、定期的に少額のインカムがあり通常時は収入がどんどん積み上がっていきます。そのまま何事も無く運用が続けばよいのですが、ある日突然大幅な損失を出す可能性があります。例えば、今年1月にあったスイスフランショックではスワップポイント狙いでコツコツ稼いでいた投資家が文字通り一夜にして大幅な損失を被りそれまでの稼いだ分はもちろん元本まで吹き飛ばすという事態になりました。また新興国債券の場合は、いわゆるソブリンリスクと為替リスクの2重のリスクと引き換えに高い金利収入を得るというものになっています。著名な例ではLTCMがロシア債のデフォルトで吹っ飛びました。
他によく似たものでは、投資商品ではありませんが、損害保険の運営は同様の課題を抱えていますす。毎月保険料を徴収して特に災害がなければ保険料はそのまま収入になりますが、一度想定以上の災害が発生すると大量の保険金の払い出しが必要になり準備金で賄えなければ破綻の可能性もあります。「ヤバい統計学」という本ではハリケーン保険で稼いでいたフロリダの損害保険会社が10年かけて積み上げてきた収益金を一気にふっ飛ばして破綻した例が取り上げられています。破綻するまでは非常に優秀な企業として讃えられていたのに、です。金融商品でいうとオプションの売りは価格変動の保険を販売することになるのでこれと同じリスクがあります。

これらの投資は順調な時はボラタリティが低く、定期的に金利収入が入ってくるため裏に潜んでいるリスクを過小評価しがちです。本来投資というのは勝ち負けの回数や勝率は重要ではなく最終的なリターンや損失の量が重要なのですが、人間はダメージの大小に関わらず損失に触れると強く不快に感じる性質があるため、1回だけ大きく負けるよりも少しずつ何回も負け続けるほうが不快感が大きく感じるようになっています。その性質にうまく付け入っているのが、先に上げた「通常時は定期的に金利収入があるが、潜んでいたリスクが発現すると一気に稼ぎと元本(まるごとあるいは一部)が吹っ飛んでしまう」投資になります。毎月少額(元本の数%)の金利収入を得てアドレナリンを得る代わりに、たった一度の負けで突然元本ごと一気に吹っ飛んでしまうリスクに目をつぶっていることに気付かないことも少なくありません。実際に吹っ飛んでから「XXXさえなければうまく逃げきれるはずだった」って。XXXはいろんなモノが入ります「スイス中央銀行の突然の方針変更」「日銀の緩和バズーカ」「急激な原油安による新興国財政不安」「ギリシアの虚偽報告」最近だと「中国株市場の崩壊」とか。これからもXXXに入るモノは起こり続けるのでしょう。

ソーシャルレンディングもまさに同様のリスクを抱えています。順調な時は毎月分配が入りますが、突然貸出先がデフォルトしてしまうといった状態になると、それまでの金利収入を吹き飛ばして元本部分も毀損する可能性があります。というかよくよく考えると、インカムゲイン狙いで投資する高利回り商品のほとんどは突然吹っ飛ぶ系の商品です。利回りが高いということは裏に相応のリスクが潜んでいるワケですから。つまりインカムゲイン狙いで投資を行うということはこれら突然吹っ飛ぶ系の商品とはうまく付き合っていく必要があります。リスクを避けて通るというのももちろんありだと思いますが、せっかくの高利回り商品なのでなんとかうまく資産構成に組み入れたいものです。ただし「突然吹っ飛んでしまう」という本質的なリスクは回避できないので、それ以外のリスク要因をコントロールして付き合う必要があります。

次回、具体的な対応方法について。

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