実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

破綻

不動産に偏るリスクを考える ー「不動産担保+不動産開発業者」+「運営企業(あるいは親会社)が不動産事業」ー

今回感じたのは、ソーシャルレンディング運営企業あるいはその親会社が不動産事業主体の場合は不動産市況変動の影響が大きく、「不動産担保+不動産開発業者」+「運営企業(あるいは親会社)が不動産事業」の組み合わせ案件は、単なる「不動産担保+不動産開発業者」の組み合わせ案件よりも不動産市況悪化時の影響がより大きくなる可能性が高そうだということです。

ソーシャルレンディング事業自体は手数料徴収で稼ぐビジネスモデルであり、不動産関連商品のリスクはすべて投資家へ添加されているので運営企業は個々の貸出商品のリスクを背負いません。つまり「不動産担保+不動産開発業者」商品を扱う運営企業の場合は不動産市況の悪化の影響は、あくまでも業績への影響(例えば、貸倒れの発生により新規投資を集めにくくなる、等)に留まり、運営企業の財務状況が直接的に影響をうけるわけではありません。ただし、商品としての「不動産担保+不動産開発業者」の課題がなくなるわけではなくそれはそのまま残っています。

一方で「不動産担保+不動産開発業者」商品を扱う運営企業(あるいは親会社)が不動産事業者(特にバランスシートに取り扱い不動産を資産計上する類の事業)の場合、不動産市況の変調はより深刻な影響をあたえることが想定されます。ソーシャルレンディング事業自体の影響は先程のケースと同じですが、それに加えて運営企業あるいは親会社自身が不動産市況の変調の影響を受けて財務的なダメージを被る可能性があります。高値で仕入れた不動産が資産計上された状態で、市況悪化で価格が大幅下落すると減資等の処理が必要で、程度に寄っては債務超過に陥るのを防ぐための増資等の対策が必要になります。前回見た通り、上場企業であっても急速に悪化して破綻する企業も少なくなさそうです。未上場であればよりシビアになるでしょう。
これまでに何度も触れているようにソーシャルレンディング投資の場合、ソーシャルレンディング運営企業や運営企業を実質的に支配している親会社が破綻した場合、元本が毀損される事態が想定されます。もし、運営企業あるいは親会社が破綻してしまえば、「不動産担保+不動産開発業者」商品の貸出先である不動産開発業者が破綻しなくとも、元本毀損の可能性が大きそうです。万一運営会社も貸出先の不動産開発業者も両方破綻してしまえば、元本はほとんど回収できない事態もありえるのではないでしょうか。そう考えると、貸出先と運営企業の業種が重なっている場合、特に市況悪化時の影響が甚大になりがちな不動産業界で重なっている場合は相当な注意が必要だと思います。

もっとも不動産といってもいろいろなビジネスモデルがあるので、市況が悪化した場合の影響も差が大きいと思います。自身では不動産を保有せず売買仲介や管理に特化しているようなケースであれば市況悪化の影響は純粋な業績への影響に留まります。一方で自社で不動産を買い付けて転売するようなモデルであれば買い付けた資産はバランスシートに計上されますので、高値で掴んだ資産が市況悪化時にバランスシートに大きな影響を与えるおそれがあります。大きく投資するのであれば、運営会社あるいは親会社のビジネスモデルとバランスシートにリスク資産が計上されているかのチェックは必須だと思います。難しければ一つの運営企業に投資する上限枠を無理のない範囲に設定して、企業や商品の分散を行う事が肝要です。

不動産は難しいですね。 

ソーシャルレンディング運営企業のリスク・突然の破綻を避ける(3)

いざというときには事業売却というのもあり得る選択肢です。実際、増資が難しくなるといきなり廃業ではなく事業売却を検討することになると思いますので、ある意味ここが最終関門的なポイントだと思っています。

SBIに関しては、特にコメントはないです。

クラウドバンクは、配下の日本クラウド証券自身がみどり証券を買収してグリーンシートの顧客口座ごと引き継いだように、第一種金融商品取引業という器は事業売却時に有利に働くことが期待できるのではないかと思っています。第一種が必要な事業への新規参入にあたっては、新規登録するよりも既存の登録事業者を買収することが少なくなさそうなので、もし売りに出た場合、それがない場合よりも成立する可能性が高いかな、と感じています。実際日本クラウド証券以外にソーシャルレンディング参入企業のAIP証券は第一種金融商品取引業として登録されていますが、過去経営権が移り変わっているようです。第一種の場合「ダメだから廃業する」というより、「ダメだったら売却先を見つける」といった対応で買い手がつく可能性が少しは上がりそうです。もっとも、その場合であっても既存口座を引き継ぐことが必ず期待できるというわけではありません。あくまでも相対的なものであると理解しておく必要があると思います。

クラウドクレジットも、ソーシャルレンディングの中での事業の独自性が高く、かつ既存株主に伊藤忠やマネックスがいますのでいざという時であっても売却先をみつけるのが難しくないのではないかと考えています。実際、べンチャー企業買収の仲介は銀行よりもベンチャーキャピタルが中心ですし日本だと商社もその機能を持っています。大手商社で投資業務を行っている知人がいますが、彼らは本当に幅広く情報持ってますので大手商社が出資しているといざというときにも頼りになるだろうと思っています。

そういう面ではAQUSHもサイバーエージェントやリクルート系のベンチャーキャピタルの出資を受けているので突然破綻する可能性は少ないのかな、と思っています。ただいずれも金融系ではないのでどの程度の調整力が発揮できるかは不透明ではあります。AQUSHに関しては単にソーシャルレンディングに注力しなくなっているので投資を引き上げていますが、もし新しいサービスが出るのであれば再度投資を検討できると思っています。

UBIについては情報を得ることが出来ませんでした。

まとめると以下の通りです。
本業の影響を避ける→突然悪化するような業態でないかを確認する
チェック機構を確認する→第三者のチェックをうける、あるいはチェック済みの情報を公開している
増資の可能性があるところを選ぶ→既存株主構成を確認する、公募増資の条件をクリアできるか確認する
事業売却の可能性があるところを選ぶ→第一種金融商品取引業を選ぶ、ベンチャーキャピタルが出資している企業を選ぶ

以上を踏まえて私が当初投資している5社について一覧にまとめてみました。

maneo SBIソーシャルレンディング クラウドバンク AQUSH クラウドクレジット
運営企業と経営形態 maneoマーケット(1) SBIソーシャルレンディング(1) 日本クラウド証券(1) ExCo(2) クラウドクレジット(2)
株主公開 非公開 公開 公開 一部公開 公開
親会社あるいはVC 非公開だけど多分UBI SBI クラウドバンク (VC出資)
サイバーエージェント、リクルート他
(VC出資)
伊藤忠、マネックス他
親会社の株主公開 非公開 公開 公開 n/a n/a
親会社の株主 不明 有価証券報告書に記載 有価証券報告書に記載 n/a n/a

ソーシャルレンディング運営企業はいずれも(詐欺でない限り)ビジネスを伸ばすことを前提に行動していると思います。しかし、実際は事業が計画通りにうまくいく保証というのはなく、投資家の立場からすると突然の破綻を防ぐ仕組みがきちんと備わっているのかどうかを見定めることが重要だと思います。

繰り返しになりますが、突然の破綻を避けるには運営企業あるいはその親会社が経営状況についてチェックを受けているかを選別することだと思います。「黒字です」とか「チェック受けてます」といった自己申告ではなく定期的にきちんと第三者により監査を受ける体制にあることが重要だと考えています。
また、第三者の出資受け入れによる資本増強や売却によって口座ごと新しい企業へ引き継がれる可能性も吟味することで投資元本への影響を抑えられる可能性は高くなると考えられます。

もっとも過去に事例がないのでそれらの対策で必ず大丈夫と言えるものではないですし、すべてのベンチャーキャピタルが救済のためのアレンジ能力があるわけでもないので、条件を満たしているから必ず安全だというわけではありません。逆に条件を満たしていなくても問題無い企業も当然あると思います。
しかし上記条件を満たしている企業の方が満たしていない企業よりはるかに安心感があるのも事実なのです。

ソーシャルレンディング運営企業のリスク・突然の破綻を避ける(2)

確認対象が明確になったので、続いて経営破綻リスクについてです。

ソーシャルレンディング投資にはデフォルトや延滞といったリスクがありますが、個人投資家の立場で考えると、最も避けたいのが「ソーシャルレンディング運営企業が突然経営破綻し投資元本が返ってこないこと」です。過去の金融事件でも直前まで経営状況の健全性を謳っていた企業が突然破綻して投資家が被害を被るといったケースが多いです。

元来ソーシャルレンディング事業は手数料型のビジネスモデルになっており、また手数料を稼ぐにあたって自社でリスク資産を抱える必要がありません。このため一定の手元資金を保有していれば経営を継続できますので、本来ソーシャルレンディング運営企業が突然経営が破綻するということはありえません。

そこでまず警戒する必要があるのは「ソーシャルレンディング以外の事業が突然大きな損失を出して破綻する可能性はないのか」といった点です。この懸念点は本業が別にあるUBIとSBIの2社にあてはまりますが、SBIの方は上場企業なので詳細の情報が公開されています。個人的にはあまりリスクを感じていないので詳しくは調べていませんが、、一応格付投資情報センターによると2015年9月時点でSBIホールディングスはBBBで投資適格となっています。
一方UBIはどの程度リスク資産を所有しているのか、どういう事業構造になっているのか詳細がよく分かりません。

次に、第三者から経営状況のチェックを受けている企業に投資すれば「突然の破綻」を避けられる可能性が高くなります。特に第三者が突然の破綻を避けるインセンティブを持っている場合はより有効です。このため「第三者からチェックを受ける体制があるか」「ベンチャーキャピタル等の外部資本を受け入れてチェックを受けているか」といった点が確認できると良い思われます。AQUSHとクラウドクレジットはベンチャーキャピタルのチェックを受けており、破綻の予兆を事前にチェックされ万一の場合に必要な対策(後述します)がとられる可能性が高いと思っています。

第三者による経営全般のチェックがない場合、「監査法人が監査した財務諸表」を自分で確認してリスクチェックを行う必要があります。SBIとクラウドバンクは監査法人の監査を受けた財務諸表を公開していますのでこれを行うことが出来ます。財務諸表のチェックポイントでいうと赤字か黒字かという点ももちろん大事ですが、継続性を確認する上では自己資本や流動性資産がどの程度残っているのかが確認できることがより重要だと思います。なお、自分で「黒字でした!」と言ってるような類のモノでは何の判断もできません。

UBIはいずれにも当てはまらないため、突然の破綻を防ぐ仕組みがどの程度備わっているのかが不明です。


また、「突然」破綻しなくとも、思ったように事業が進まず事業の見直しが必要になるケースも考えられます。この場合、とられる手段として資本増強、事業売却、廃業・事業整理等が考えられますがきちんと第三者のチェックを受けている場合、突然破綻することはほとんどなく手遅れになる前に資本増強か、事業売却になると考えられます。

まず資本増強ですが、一般的にはベンチャーキャピタルや大手資本から資本を受け入れることが考えられます。AQUSHやクラウドクレジットは増資にあたってはまず間違いなくこの手法がとられると思います。一方でSBIやクラウドバンクの場合、証券会社なので公募増資という手段も取ることが可能です。いずれの場合も、既存資本(株主)の意向が重要になります。ココらへんの内容は経営陣よりも株主の意向が強く働くポイントです。ですので既存資本(株主)構成がきちんと公開されているのかはものすごく重要です。私にとってはソーシャルレンディング投資にあたって最も重要なポイントの一つです。はっきり言って個別商品の利回りだの担保だのよりもよっぽど重要です。
なお、昨年から今年にかけてAQUSHとクラウドクレジットは第三者割当、クラウドバンクは公募で増資を行った実績があります。

次回に続きます。
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