実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

ソーシャルレンディングの投資リスク

日米利回り表示比較(2) ーデフォルトは考慮されているか?ー

それでは日本国内のソーシャルレンディング各社の場合はどうでしょうか。

基本的に、各社が提示している利回りは、前回のレンディングクラブの例で言うと15.80%にあたる値、つまりデフォルト見込みを反映していない値になります。私が投資しているmaneo、SBIソーシャルレンディング、AQUSH、クラウドバンクはいずれもデフォルト見込みを考慮していないデータのみを提示しています。

貸付先のデフォルトリスクは全て投資家が負担することになりますが、運営各社は「デフォルトが発生しないように厳格なチェックを行っている」と、至極当たり前なことを提示するのみでデフォルトの発生見込みについての情報は全く提示されていません。以前銀行やノンバンクのデフォルトについて調べたことがありますが(「デフォルトについて」)、どんなに厳格にチェックしてもデフォルトが発生するリスクはゼロにはなりません。本来であれば投資にあたってどの程度のリスクでデフォルトが発生するかの情報を提示するべきだと思います。

P2Pサービスであるレンディングクラブと違って中小企業向けあるいは不動産向けローンが中心なので単純な比較は難しいという側面はあると思います。そうはいっても、貸出先の金利を決定するにあたって、プロとして過去の経験等を活かしていると思いたいのですが、そうであれば過去の経験からデフォルトのリスクも把握しているでしょうから投資家へ提示するべきだと思います。さすがにプロがデフォルトリスクがゼロだと思っているとは思えないので、提示できない理由はひょっとすると投資家からの投資資金を集めにくなるほどデフォルトリスクが大きいのではないかと思ってしまいます。

あるいは運営企業によっては同一案件により多くの資金を投資させたい、という意向があり、そのためデフォルトリスクについて意図的に伏せているといったこともありえます。実質的に単体の貸出先への投資であるにも関わらず最低投資単位が10万円を越えるような案件もありますが、本来分散投資を勧めるべきリスク商品を販売する企業が行う設定とは思えません。日本のソーシャルレンディングの課題の一つだと思います。投資単位の引き下げには管理コストが上昇するという恐れがありますが、「フィンテック」を標榜する企業であればITを活用することでそうした管理コストを抑える取り組みを行うでしょう。実際AQUSHは最低投資金額1,000円を実現しています。デフォルトが発生する前提であれば小口分散投資によりデフォルトリスクを分散させることが必須になるので、最低投資金額をチェックするのも運営企業選定の重要なポイントの一つといえるかもしれません。実質的に単体の融資先への商品が中心にも関わらず最低投資金額かやたらと大きいところはデフォルトリスクを軽視している可能性が高いです。


国内のサービスで唯一デフォルトを考慮した利回り(レンディングクラブの例で6.26%ー9.26%にあたる値)を提示しているのがクラウドクレジットです。提携先のP2Pプラットフォームがレンディングクラブと同様に想定デフォルトデータを開示しているため、一定のデフォルトについてはあらかじめ織り込まれています。レンディングクラブの例で言うとおそらく9.26%ではなく下限である6.26%か中間値あたりを前提にファンドを組成しているのではないかと思います。もちろんデフォルト率が想定を上回る可能性も当然ありますが、デフォルトリスクを全く反映させていない値と比べると雲泥の差です。またクラウドクレジットの場合は、個別の商品それぞれが既に分散投資実施されている状況なのも魅力です。

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日本のソーシャルレンディングは情報公開について課題と指摘されることが少なくありません。貸出先の覆面化については当局からの指導なので運営企業の自助努力だけではクリア出来ない問題ですが、それ以外の情報は運営企業自身がその気になりさえすればいつでも公開できるはずです。より多くの投資家を惹きつけるには運営各社が積極的な情報開示を進めることは必須であり、運営企業自身の透明性に加えて具体的な投資リスクデータについても開示していく企業が増えることを期待したいです。

 

日米利回り表示比較(1) ーデフォルトは考慮されているか?ー

レンディングクラブにレンディングを開始して9ヶ月、現在の想定リターンは15.80%になっています。
BlogPaint
一方で、延滞・デフォルトも多数発生しています。レンディングクラブでは「Grace Period」→「Late」→「Default」→「Charged Off」というようにステータスが変遷しますが、実際に損失が確定するのは「Charged Off」の時点になります。ちょっとややこしいですが、レンディングクラブの「Default」はまだ損失確定されていないので日本的に言うと「デフォルト」ではなく「延滞」の最終段階という感じになります。

手持ちのNote、4,400あまりのうち延滞(「Grace Period」〜「Default」)とデフォルト(「Charged Off」)はそれぞれ以下の通りです。

延滞Note数:164
デフォルトNote数:5 

冒頭の15.80%という値は、損失確定されたデフォルトの5つのみが反映された数字です。実際はすでに多くの延滞が発生していますので、15.80%という利回りを下回ることは確実ですがどのくらいになりそうなのでしょうか。レンディングクラブでは、延滞の状況から将来のデフォルト金額をシミュレーションできるようになっています。
利回り01
過去のデータをもとに延滞の状態別の元本にデフォルト発生確率を掛けあわせて、デフォルト額の見込みが試算されます。このデフォルト見込みを考慮して利回りを計算すると、15.80%ではなく9.63%になります。延滞状況を利回り計算に含めて表示する機能が備わっているため、普段からその機能をオンにしておくことで実情を上回る期待を抱かないように自制することが可能です。
BlogPaint
また、そもそも私のNoteポートフォリオ構成の場合、過去データからの試算では最終利回りが「6.26%ー9.26%」になるという値が示されており、幅はありますがおおよその目安が把握できるようになっています。

このようにレンディングクラブでは
・デフォルトを反映させた利回り
・デフォルトに加えて発生中の延滞のデフォルト見込みを反映させた利回り
・過去のデータから試算される最終利回り
の3種類が提示されており、どのデータを重要視するかは投資家自身で判断できるようになっています。

日本の場合はどうでしょうか。次回に続きます。

不動産に偏るリスクを考える ー「不動産担保+不動産開発業者」+「運営企業(あるいは親会社)が不動産事業」ー

今回感じたのは、ソーシャルレンディング運営企業あるいはその親会社が不動産事業主体の場合は不動産市況変動の影響が大きく、「不動産担保+不動産開発業者」+「運営企業(あるいは親会社)が不動産事業」の組み合わせ案件は、単なる「不動産担保+不動産開発業者」の組み合わせ案件よりも不動産市況悪化時の影響がより大きくなる可能性が高そうだということです。

ソーシャルレンディング事業自体は手数料徴収で稼ぐビジネスモデルであり、不動産関連商品のリスクはすべて投資家へ添加されているので運営企業は個々の貸出商品のリスクを背負いません。つまり「不動産担保+不動産開発業者」商品を扱う運営企業の場合は不動産市況の悪化の影響は、あくまでも業績への影響(例えば、貸倒れの発生により新規投資を集めにくくなる、等)に留まり、運営企業の財務状況が直接的に影響をうけるわけではありません。ただし、商品としての「不動産担保+不動産開発業者」の課題がなくなるわけではなくそれはそのまま残っています。

一方で「不動産担保+不動産開発業者」商品を扱う運営企業(あるいは親会社)が不動産事業者(特にバランスシートに取り扱い不動産を資産計上する類の事業)の場合、不動産市況の変調はより深刻な影響をあたえることが想定されます。ソーシャルレンディング事業自体の影響は先程のケースと同じですが、それに加えて運営企業あるいは親会社自身が不動産市況の変調の影響を受けて財務的なダメージを被る可能性があります。高値で仕入れた不動産が資産計上された状態で、市況悪化で価格が大幅下落すると減資等の処理が必要で、程度に寄っては債務超過に陥るのを防ぐための増資等の対策が必要になります。前回見た通り、上場企業であっても急速に悪化して破綻する企業も少なくなさそうです。未上場であればよりシビアになるでしょう。
これまでに何度も触れているようにソーシャルレンディング投資の場合、ソーシャルレンディング運営企業や運営企業を実質的に支配している親会社が破綻した場合、元本が毀損される事態が想定されます。もし、運営企業あるいは親会社が破綻してしまえば、「不動産担保+不動産開発業者」商品の貸出先である不動産開発業者が破綻しなくとも、元本毀損の可能性が大きそうです。万一運営会社も貸出先の不動産開発業者も両方破綻してしまえば、元本はほとんど回収できない事態もありえるのではないでしょうか。そう考えると、貸出先と運営企業の業種が重なっている場合、特に市況悪化時の影響が甚大になりがちな不動産業界で重なっている場合は相当な注意が必要だと思います。

もっとも不動産といってもいろいろなビジネスモデルがあるので、市況が悪化した場合の影響も差が大きいと思います。自身では不動産を保有せず売買仲介や管理に特化しているようなケースであれば市況悪化の影響は純粋な業績への影響に留まります。一方で自社で不動産を買い付けて転売するようなモデルであれば買い付けた資産はバランスシートに計上されますので、高値で掴んだ資産が市況悪化時にバランスシートに大きな影響を与えるおそれがあります。大きく投資するのであれば、運営会社あるいは親会社のビジネスモデルとバランスシートにリスク資産が計上されているかのチェックは必須だと思います。難しければ一つの運営企業に投資する上限枠を無理のない範囲に設定して、企業や商品の分散を行う事が肝要です。

不動産は難しいですね。 
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