オルタナティブ投資の有力な資金提供者として大学基金があります。
なかでもオルタナティブ投資に積極的な機関投資家として知られているイェール大学基金はアロケーションの公開を行っており、2018年のアロケーションについても紹介しています。

Absolute Return: 25.0%
Venture Capital:17.0%
Foreign Equity: 15.5%
Leveraged Buyouts: 14.0%
Real Estate: 10.0%
Bonds and Cash: 7.5%
Natural Resources: 7.0%
Domestic Equity: 4.0%

これまでの記載の仕方になおすと
株式19.5%:債権7.5%:オルタナティブ資産73%!
です。73%はすごいですね。

オルタナティブ資産の内訳としては
不動産10%:ヘッジファンド25%:商品7%:PEファンド31%
となっていて、ヘッジファンドとPEファンド(VCファンドとバイアウトファンド)が56%というのが個人ではなかなかマネようもないアロケーションです。


The Yale Investments Officeのサイトではアニュアルレポートがアップされています。直近の「Endowment Update 2017」のハイライトを確認して見ると過去5年のリターンとアロケーションの推移が確認できます。

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「2017 The Yale Endowment」より引用

これを見ると、株式15.7%→19.1%、債権4.9%→4.6%、オルタナティブ資産77.8%→75.1%と推移していおり、今年度のオルタナティブ資産は73%なのでさらに引き下げられています。

また、オルタナティブ資産のなかでも資産クラス別の割当比率は変動が大きく、

ヘッジファンドは17.8%→25.1%と増加
バイアウトファンドは21.9%→14.2%と減少
商品は7.9%→7.8%と横ばい
不動産は20.2%→10.9%とほぼ半減
VCファンドは10%→17.1%と増加

となっています。

ポートフォリオ全体のリターンについては3.4%〜20.2%でかなり大きく変動しています。ミドルリスク・ミドルリターンではなくハイリスク・ハイリターンな印象です。
ちなみにCalPERSのリターンとの比較してみると、2015年度のCalPERSが2.2%だったのに比べてイェールの2015年度は11.5%で圧勝、2016年度は0.61%と3.4%とこちらもイェールの勝ち、2017年度は11.2%と11.3%で横並び、という具合なので少なくともここ数年はオルタナティブ資産比率が高いポートフォリオがより有効だったということです。もちろん、だからといって今後もそうだという保証にはなりません。

The Yale Investments Officeのサイトでは、1985年からのアロケーション推移をグラフにしたものが掲載されていますが、これをみると1990年代に急速にオルタナティブ資産にアロケーションを移していった様子が読み取れます。
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何かしらの理由で伝統的な株式投資を避けながらも、資産運用の目的を「守り」ではなく「攻め」で考えるのであれば、このくらい思い切ったオルタナティブ資産へのアロケーションもありかもしれませんね。ただ、個人投資家として参考にするには、ヘッジファンドやVC、バイアウトファンドへの投資、もしくは近似した商品への投資する方法を見つける必要があります。やっぱりハードル高いですね。
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これまで見てきた内容を参考にする上で、日米の市場の違い、機関投資家と個人投資家の違い、そもそもの商品の違いは決して小さくないので、あまり過大な期待を持つのは適切ではないですが、「ソーシャルレンディングがオルタナティブ資産の一部と近似するかも」という仮定のもとで機関投資家のポートフォリオを参考にすると、ソーシャルレンディングを一定量(不動産関係で10−15%、エネルギー、事業ローン系で5−10%:合計で20%程度)ポートフォリオに組み込むことで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えながらリターンを向上させる可能性が多少なりともあるかもしれないという期待は持てそうです。

ソーシャルレンディング運営事業者の不祥事が報道される中、よりいっそう事業者選別に注意が必要ではありますが、ソーシャルレンディング投資の主目的としてインカムゲインの向上を目指すだけでなく、ポートフォリオのパフォーマンス改善に効果があるという点を加味すれば、これまで株式や債権といった伝統的な投資手法だけを行ってきた投資家にこそ、資産の10%〜20%をソーシャルレンディングに振り向ける検討の価値があるのではないかと思っています。

とはいうもののソーシャルレンディング運営事業者の不祥事が報道される中、運営事業者の選別の重要性はこれまで以上に高くなっています。最近の運営事業者事情は追いかけていないため、新しい事業者についてはとんと疎いのでどこなら投資できそうかはなんとも言えませんが、対策の一つとしては「特定の事業者に投資が偏るのは避ける」というのが有効だと思います。例えば500万円投資するのなら、一つの事業者に500万円を投資するのではなく、5つの事業者に分けて100万円ずつ投資する方が本来望ましいです。自分なりに運営事業者のチェックポイントを決めて、それをクリアする企業があれば投資資金お偏りを避けてできるだけ幅広く投資するのが有効だと思います。

ちなみに現在私が投資しているのは投資金額の多い順にクラウドクレジット、クラウドバンク、SBIソーシャルレンディングの三社です。他にも新しいところで探そうかとも思ってますが、なかなか手がつけれていません。どっか良いとこないですかね。