re/code decodeというサイトでレンディングクラブのCEOのルノー・ラプランシュのインタビューが公開されています。タイトルは「Wall Street Doesn’t ‘Get’ Online Lending … Yet.」。
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38分もあるのでちょっと長いですが、カラ・スイッシャーっていうジャーナリストがインタビューアーを勤めていて、この人が遠慮無くずけずけ切り込んでいるのでなかなかおもしろいです。個人的な聞き所として、既存金融機関との差別化ポイント、他のP2Pレンディングとの差別化ポイントをルノーが説明しているところが良かったのでざっとまとめておきます。

<既存金融機関との差別化>
テクノロジーを活用することでローコストでかつユーザの使い勝手の向上を行う。テクノロジーは既存の金融機関も活用しているが、そもそものマインドセットに違いがある。例えば何かオペレーションの課題があった時に既存の金融機関はオペレータの数を増やすことで対応するが、レンディングクラブはエンジニアの数を増やすことで対応する。背景として既存の銀行はレガシーなシステムなのに対してレンディングクラブのシステムは柔軟性があると言った点がある。
特にオートメーション(自動化)を活用することを重要視している。オートメーションは単にコストを下げるだけでなく、ユーザの使い勝手にも大きく影響する。例としてローン申請の際、既存金融機関の場合はローン申請に記入するだけでなく収入証明のための書類を添付する必要がある。こういった収入確認を収入管理をしている機関とAPIを使って自動確認する仕組みを作れば、手間が省けるだけでなくヒューマンエラーを防止するといった効果も期待でき、ついてはローンのクオリティ向上に貢献することになる。


<他のP2Pプレーヤーとの差別化>
多くのP2Pプレヤーがマーケットに参入しているが、基本的に多くのプレーヤーは機関投資家からの資金をもとにローンを貸し付けるモデルになっている。資金が集まっている時は良いが、機関投資家だけに投資を頼っていると景気後退期に一斉に資金を引き上げたりといった同じような行動に動くことが懸念される。それに対しレンディングクラブは投資家が分散されている点が大きく違う。現状の投資家の割合は個人投資家が50%、銀行が25%、保険やヘッジファンドなどの機関投資家が20%といった割合になっていて、リスク嗜好や景気後退期の投資動向が分散されており結果的にレジリエンシー(事業継続性)が高まることになる。

なるほどなー、という感じです。
他に気になったやり取りは以下の通り。カラなんちゃらがズケっと聞いてもルノーがはぐらかす感じだったので物足りなくもありますが。

ー マーケットではレンディングクラブはテクノロジーセクターか金融セクターかといった議論があるけどどう思う?
「テクノロジーセクターか金融セクターかの違いは良くわからない、いずれにしても最終的には売上と利益の成長性が重要だと思っている」

ー 株価がIPOから半分になってるけど、例えば中国の詐欺事件でオンラインレンディングセクター全体が懐疑的に見られているといったことは影響しているのか?
「(公募価格の)$15から$9近くになってるけど半分は言い過ぎ。実際の事業は当初の予定より早く成長している。新しいモデルの場合マーケットが理解するのに多少時間がかかる」

ー 最も気にかけていることは?
「ローンのクオリティ。景気後退局面になったとして、ローンの借り手にとって金利削減効果がより重要になるので需要は減らないと思う。一方で投資家サイドはできるだけ多様な投資家を集めてかつ投資家の期待値に適切に対応できるようにローンのクオリティを確保していくことで対応していくための準備を進めている」

全体を通してカラなんちゃらが何回も中国の詐欺事件について触れていたのが印象的です。オンラインレンディング先進国の米国であってもP2Pレンディングはまだまだ懐疑的な視線が払拭されきっていないようです。