当ブログでは分散投資をオススメしておりますが、「分散」にはいろいろな意味があります。「投資アセットの分散」や「購入・売却時期の分散」等はもちろん重要ですが、加えて同一投資アセットの「投資対象銘柄の分散」というのも重要だと思っています。株だったら「個別株」より「インデックス」、現物不動産だったら「マンション1棟買い」より「ワンルーム複数所有」って感じでしょうか。

米国のハイイールド債権は日本の個人投資家にも人気がありますが、実際に特定企業の投資不適格債/ジャンク債を購入しているわけではなくETFや投資信託を通じての投資が主流だと思います。ハイイールドETFだと、以前取り上げたBlackrockのHYGやState StreetのJNKがメジャーどころかと思います。ETFの場合、それぞれがもつハイイールド指数に連動するように設計されており、実質的には多くのジャンク債個別銘柄に分散投資されています。
HYGは保有している銘柄をCSVフォーマットでダウンロードできるようになっているので、これを参考にどの程度の分散がされているのかを見てみましょう。(使用しているデータは2015年10月23日のものです)

まず、HYGが保有しているジャンク債の数ですが、合計でおよそ1,000件、平均年利は6.38%です。すべての債権が同じ金額・利回りだと仮定すれば1000件中60件デフォルトしてはじめて元本割れする計算になります。実際、一番大きなジャンク債が全体に占める割合は0.52%におさえられています。一見かなり分散されている印象です。

ただし、ジャンク債の発行企業でくくると分散度合いが減じます。企業数でみるとHYGは500社のジャンク債を保有しており(1社あたり平均2債権)、単純計算では500社中30社のデフォルトで元本割れになります。60/1000も30/500も率でみれば同じなので一見違いがないように見えますが、標本数が大きくなればなるほど本来の確率の平均へと近づいていく「大数の法則」という法則があります。例えばサイコロ6回なげても1−6まで全部1回ずつ出る可能性は高くなさそうですが、6,000,000回投げれば1−6がぞれぞれ1,000,000回近辺の回数に近づいて行きます。標本の数を増やせば増やすほど本来の確率に近づいていきます。逆に言うと、標本の数が小さくなればなるほど、つまり分母が小さくなればなるほど現れる結果のバラツキは大きくなります。どの程度の差になるかはきちんと理解できていませんが、1000と比べると500のほうが極端な結果(例えばデフォルトが10%発生する)が現れる可能性は高くなるのは間違いないです。

さらに、最も保有数の多いHCAという企業については実に11件のジャンク債を保有しており全体に占める割合は2.22%になります。HCAがデフォルトしたら、HYGの2.22%が飛んでしまうということです。全体に占める割合が1%を越える企業が13社あり、13社の合計で17.5%にのぼります。この13社のウチ5−6社デフォルトしたら元本割れするリスクがある、という点は注意が必要です。500社中の5−6社なので社数で見るとわずか1%です。1%のデフォルトは十分ありえそうです。よく言われる通り平均だけではなくバラツキの確認が重要だということも示唆していますね。

今回はちょっと厳し目に評価してみましたが、実際のところ「500社への分散投資」や「最も保有率が高くて2%強」という環境を一つのファンドで実現できるところはやはり優れた商品だと思いました。私が持ってるのはHYGではなくJNKですが。

ではオンラインレンディングやソーシャルレンディングではどうでしょうか?