クラウドクレジットが今月「ペルー・小口債務者支援プロジェクト運用報告会」を開催しました。残念ながら私は参加できなかったのですが、ファイアフェレットさんの「ソーシャルレンディング赤裸々日記」でセミナーの情報を詳細にレポートされておられるのを拝見したところ、以前から疑問に思っていたところが何点かが説明があったようです。その情報を参考にさせていただいて改めて「ペルー・小口債務者支援プロジェクト」(以下「ペルーファンド」)について考察したいと思います。
なお、先にファイアフェレットさんの該当記事をご覧いただくと良いと思います。

一般的なソーシャルレンディング商品は資金を貸し付けて、その利子を源泉に配当を出すという形態です。一方、ペールーファンドは大きく違い不良債権回収ファンドです。不良債権ファンドは一般の個人投資家がふれる機会は通常ありませんが、大きなリターンを狙える投資機会です。
例えば貸し倒れになった100万円の債権を100個まとめると権利額面1億円になりますが、これを額面の数%、例えば5%として500万円で元の債権者である銀行などから買い取って債権者となり、債務者に対して回収を行います。この例の場合、手数料を考慮しなければ、100人中5人から額面100万円全額回収、100人中10人から額面の半分の50万円回収、100人中100人から額面5%の5万円回収、などで元本確保となりそれを上回る分はすべてリターンになります。もし100人中6人から100万円ずつ回収できれば投資元本500万円に対して600万円、実に20%のリターンです。100人中たった6人で、です。

通常少ない元本で大きなリターンを得るにはレバレッジをかけないと実現できず最悪の場合大幅な損失が発生するリスクがありますが(例えばハイレバのFXや信用取引)、不良債権回収の場合レバレッジは必要ないので理論上投資元本以上の損失は発生しません。

ペルーファンドの期待リターンは年10%台と高いですが、仕組み的には十分狙えるものだと思います。一方で期待通りに行かないリスクも当然あり、非常にユニークなファンドであるがゆえに他のソーシャルレンディングのファンドとは全く違いますので、検討するべきリスクも独特なものが少なくありません。
以下、ペルーファンドのリスクについて見ていきます。

◯回収リスク
一番のリスクが想定通りに回収できないことにあるのは間違いありません。何といっても期限内に返済しなかった人や会社が相手ですからね。想定より回収できない場合は、予定している配当が実施できない可能性や元本割れの可能性もあります。

ペルーファンドの場合、実績のある現地回収業者と提携しており、回収業者への手数料支払いは成功報酬制にすることで、回収率向上が業者のインセンティブになるように設定されているようです。
もともとの返済ができなかった人が、一定期間を経過した後に返済が可能になることは決して多いとは言えないでしょうがそれなりにありえそうです。また、回収にあたっては額面全額を回収する必要はないという点は回収率改善に貢献すると思います。額面5%で買い取っていれば100万円の債権を20万円や30万円に減免しても大幅な利益があがります。額面を減免することで返済が行えるケースはそれなりに期待できそうに思います。不良債権リストを買取る価格が低いほど回収しやすくなりますのでココはプロジェクト成否のポイントのひとつですが、ペルーファンドでは買取価格は「額面の数%」と表記されています。一般的なイメージで言うと5%前後ということでしょうか。

セミナーでは、買い取った不良債権リストごとの回収率の予測と実績値が公開されたようです。今後時間が経過するごとにデータが蓄積されることで、回収率の想定の精度が上がり結果的にリスクを低くしていくことに繋がるのではないかと期待しています。

◯為替リスク
クラウドクレジットの説明では、「投資家は円建ての契約を持っており為替リスクはクラウドクレジットのペルー子会社が負っている。投資家が負う為替リスクは送金にかかわる3日程度の間のドル円の変動リスクのみ」とされています。ただ、私はこの説明で納得出来ない点があります。ペルー子会社が負っている為替リスクは最終的には投資家が負うことになるはずだと考えており、その点についての情報が欲しいとずっと思っていました。

例えば1ソル=36円のレートで、元本3600円(100ソル)、円建て利回り10%で1年間投資した場合で試算します。この場合、ペルー子会社は日本サイドへは1年後に3960円支払うことになります。また仮にペルー子会社は為替リスク対応に目的に10%をバッファしているものとします。
順調に運用されれば1年後のペルー子会社にはバファ分を含めて120ソルが入り、そこから3960円を投資家へ償還します。
この時のレートが1ソル=36円であれば3960円を支払うには110ソルですみますが、仮に円高がすすんで1ソル=30円になっているとペルー子会社は3960円支払うために132ソルを用意する必要があります。為替リスクのバッファ分を加えても120ソルしかないので無理ですね。120ソルを全額支払っても3600円にしかなりません。もし1ソル=25円になると120ソルは3000円にしかならず、投資家は元本割れになります。

一方で円安が進んで1ソル=50円になった場合、ペルー子会社は79.2ソルの支払いで済みますがこの場合に投資家にアップサイドは発生しません。つまり、現状の仕組みではソルに対して大幅な円高のリスクは最終的に投資家がかぶるが、円安の場合のリターンは発生しないという非対称性があるのではないかと思っています。どの程度の為替変動が発生した場合に為替の影響が発生するのか、つまりどの程度のバッファを想定しているのかという情報が公開されていません。というかそもそもこの認識が正しいのかどうか自体確認が取れていません。

この点に関してはセミナーでも説明はなかったようですが、「今後の運用方針」をみると

為替ヘッジ取引を行い、現地子会社が負っている為替リスクを低減

とあるので、クラウドクレジットもこの点に関して問題意識を持って対応しようとしていることが見て取れます。これ大事だと思ってますので早くやってください。

本当は為替ヘッジなしにして(ペルー子会社ではなく)投資家が為替リスクを負うのが好みなんですけどね。