しばらく前より予告されていたクラウドクレジットの為替ヘッジ商品ですが、欧州ファンドの為替ヘッジ商品が販売開始されました。
この商品販売の少し前に欧州ファンドの為替ヘッジ無し商品が販売されていましたが、期待利回りの違いを見てみると以下の通りです。

為替ヘッジ無し 為替ヘッジあり 差分
リターン追求型 14.0% 10.6% 3.4%
両方追求型 11.3% 8.5% 2.8%
リスク低減型 8.5% 6.8% 1.7%

為替ヘッジ無しと為替ヘッジありの差分は為替ヘッジのコストに起因すると思われます。リターン追求型のコストが最も高くなっていますが、これは分配金が多い分よりコストがかかるということなのか、リスク低減型の利回り低下を抑えるために恣意的にバランスしているのか(3つのファンドの平均は2.6%)は少し気になりますね。
ただ、今回の商品は為替ヘッジの有無だけでなく、満期一括返済で運用を行うそうなのでこれまでの元利均等商品よりもトータルのリターンは高くなっていると思われます。その点を考えると為替ヘッジのコストは差分以上に発生しているのでしょう。

個人的には為替ヘッジ商品はパスする方向ですが、為替ヘッジ付きでこれだけの利回りであれば為替リスクをとりたくない方には大変魅力的な商品ではないかと思います。商品設計としては日本のソーシャルレンディング商品と違って、ファンド内でレンディングクラブと同じタイプの分散投資が実現されており相応のリスク分散効果が期待できるのは投資商品として優れたポイントだと思います。どの程度の分散が実現されているのかはまだ公開されていませんので、気になる方は問い合わせたうえで投資すると良いと思います。提携先の貸付・回収のプラットフォームであるBondraも以前調べたところでは米国VCの出資をうけており詐欺等の信用リスクも低そうです(詳しくはこちらを参照ください)。私も最初の為替ヘッジ無しファンドで3種類に投資ましたが、今月はじめての配当がありました。以下、源泉徴収後の金額です。

リターン追求型:13,993円(元本50万円)
両方追求型:1,560円(元本10万円)
リスク低減型:1,427円(元本10万円)

リターン追求型が元本10万円相当で2,799円と好調な反面、両方追求型はリスク低減型とあまり差がない
状況でした。ペルーファンドの時の経験からすると、後2−3ヶ月すれば利回りの試算ができるようになるかと思います。

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 今回の為替ヘッジ開始にあたって、杉山社長のブログで為替ヘッジの基本的な仕組み欧州ファンドでのスキームについて紹介されています。普段あまり気にすることない為替ヘッジの仕組みについて触れる良い内容ですので、当商品への投資検討の有無にかかわらず一読の価値があるのではないかと思います。私も拝読しましたが、特に欧州ファンドの説明のなかで触れられていた以下の為替ヘッジ商品独自のリスクについてはこれまで考えたことがなかったので大変参考になりました。

為替ヘッジ取引を行う留意点として、ファンドではMFX Solutionsの信用リスクを負うことになります。

MFX Solutionsというのは今回クラウドクレジットが提携したヘッジエージェントです。確かに為替ヘッジを実現するにはそれを請け負う機関が償還時点で運営されていることが大前提となりますね。そう指摘されて改めて考えてみるとこれまで為替ヘッジ商品で為替ヘッジを提供している企業の信用リスクは考えたこともなかったです。例えばAQUSHが提供していたグローバルファンドは為替ヘッジ商品でしたが、改めてその説明を見ると確かに「取引先の信用リスク」として「(為替ヘッジを行う)ヘッジエージェント」の信用リスクが記載されています。ただし、肝心のヘッジエージェントがどういう企業なのかという企業が記載されていません。当時は気にしたこともありませんでしたが、今考えるとこれでは片手落ちだったということですね。勉強になります。

クラウドクレジットの杉山社長は外資系金融機関の日本法人での経歴があり、為替についても相応の知識と経験をお持ちのようなので、今回のスキームについても相応の準備をして取り組まれているのではないかと期待できます。資産取り崩しの時期が近い方には日本円が大幅安になるリスクよりも為替変動リスクの方が重要度が高いでしょうから、当然一定のニーズがあるでしょうし投資を検討する価値は十分あると思います。

でも為替ヘッジなし商品も引き続き継続して欲しいです。お願いします。