前回見たとおり、10年間日産株を保有し続けておよそ25万円の配当を手にしています。株価はトントンなので決して悪い選択ではなかったな、と納得してしまいそうです。しかし意思決定の結果について、特に複数の選択肢から選んだ結果と選ばなかった選択肢の結果を比較検証することは今後の判断の質を上げていく上で重要です。

今回の例でいくと、2005年当時、日産株とトヨタ株のどちらを購入するか検討していた記憶がうっすらありますので「もしあの時日産株を買わずにトヨタ株を買っていたら」という視点で比較してみます。本来であれば同一期間の配当総額と株価の推移を併せて比較すべきなのですが、配当の長期データを集めるのは手間がかかるので、今回は株価の推移を使用して比較してみます。
ベンチマーク比較ということでみると、まず日産株はそもそも同一期間の日経平均よりも大きくパフォーマンスが劣っています。日産はほぼ同一なのに対して日経は1.6倍に増加しています。

配当03
(青が日産、赤が日経:2005年3月23日〜2015年9月26日)

一方、トヨタは同じ期間に2.5倍になり日経を上回っています。当該期間のトヨタの配当総額がどの程度かは把握していないのでこのグラフだけで比較はできませんが、110万円投資していたら時価が270万以上に増えてるはずなのでそれだけとっても全く比較にならないことが痛いほど理解できます。

配当04
(青がトヨタ、赤が日経:2005年3月23日〜2015年9月26日)

やはり銘柄として(トヨタでなく)日産を選択したのは正解だったとは言えない状況です。個別銘柄の選定は配当株であってもやっぱり難しく、特定の銘柄に偏らないようにしないといけないと改めて思います。

さらになぜトヨタでなく日産を選んだのか、を考えると当時の判断方法が拙かったことに行き着きます。
本来であれば「日産株とトヨタ株、配当を含めた投資リターン予測はどちらが良いか」という難解な質問について、どのデータをどうやって調べる必要があるのか、といった根本的なところから(できるかどうかは別として)考えなければならない問題です。ところがその時に簡単に入手できるデータ、特にその時点での配当利回り(確かその時点ではトヨタより日産の利回りが良かったはず)を見て「その情報が全て」で他にどんなデータを入手すべきかを検討することもなく「日産とトヨタとどっちが配当利回りが良いか」という至極簡単な問題に置き換えて回答をしてしまっていたんだろうと思います。あるいは「日産とトヨタとどっちが好きか」「ゴーン氏と奥田氏とどっちが優秀だと感じるか」といった問題(どっちも感情を問いていいるだけなので答えるのが簡単)に置き換えてたのかもしれません。
難しい問題を無自覚なうちに簡単な問題に置き換えてもとの問題の回答にしてしまうことはヒューリスティックと呼ばれ、無自覚のうちに頻繁に行ってしまっているので、意識しておかないとついつい合理的な判断ができていないことが多くなります。どういう時に合理的でない判断をするかを知っておくことは、それを避けるためにも重要です。今後同じような場面があったら、知らず知らずのうちに簡単な問題に置き換えてしまっていないかを意識して確認することが必要です。そもそも、配当株を選択する場合にどの項目を基準にして選択するべきなのかを事前に確立しておかないといけないですね。今後の課題です。

個別銘柄投資はやっぱり難しい。