前回の続きです。

◯リスク分散の難しさ
9つのファンドで複数の会社がたまたま同時に延滞の申し出をするとは思えず、ある特定の1社に前述9つのファンドから資金を貸し付けており、それがまとめて延滞になったのでしょう。
現在、私はリスク分散を目的として1ファンドあたりの上限を10万円に設定していますが、自分ではファンドを分けて分散しているつもりでも結果的に同じ事業者に投資してしまっている可能性があります。SBIソーシャルレンディングのセミナーで「不動産担保ローン事業者ファンド」の説明を聞いた時に疑問に感じた「貸出先が4社しかないためファンドを分けて投資しても分散効果が期待できないのではないか」という状況とまさに一致します。クラウドバンクが何社程度の貸出先を抱えているのかは把握していませんが、SBIソーシャルレンディングと比べて極端に多いということはまずないのではないかと思います。
理想的には、十分な数の貸出先があって、かつ自分がどこに貸しつけるかを明示的に決めることができれば、分散効果を確実に活かすことが可能になります。レンディングクラブではまさにこの状態が実現されています。しかし現実的には、現在の金余りの日本で適当な貸出先の事業者がそれほど潤沢にいるとも思えず、かつ貸金業法で貸出先の公開が規制されています。というかクラウドバンクやSBIソーシャルレンディングのように一定期間のファンド募集期間を設定して、同じ期間に貸付先も募集する形態のファンドの場合ではそもそも投資家がファンドへの投資判断を行う時点ではまだ貸付先が決まっていないことがほとんどだと思います。資本規制等で銀行の貸付が絞られてソーシャルレンディングの貸付先企業の数がぐんと増えれば何か別のアプローチが出てくるかもしれませんが、現状では今の状況を前提として投資判断していくしかなさそうです。しかし、ファンドあたりの投資上限を引き下げても根本的な課題の解決にはならないですし、これといった対策が思いつきません。難しい課題です。

ただし、今回のクラウドバンクの延滞については、延滞しているファンドの運用時期を調べると前述の状況とはちょっと違うのかな、ということが分かってきます。延滞しているファンドは不動産担保23号を除いていずれも今年2月から6ヶ月の期間で運用開始されているファンドになっています。

    ファンド名称        運用開始  期間
不動産担保型ローンファンド第23号  2014年8月 12ヶ月
不動産担保型ローンファンド第55号  2015年2月 6ヶ月(キャンペーン)
不動産担保型ローンファンド第58号  2015年2月 6ヶ月
不動産担保型ローンファンド第61号  2015年2月 6ヶ月(キャンペーン)
不動産担保型ローンファンド第62号  2015年2月 6ヶ月
不動産担保型ローンファンド第63号  2015年2月 6ヶ月(キャンペーン)
中小企業支援型ローンファンド第75号 2015年2月 6ヶ月
中小企業支援型ローンファンド第76号 2015年2月 6ヶ月(キャンペーン)
中小企業支援型ローンファンド第79号 2015年2月 6ヶ月

これを見ると、2015年2月に大型の貸出案件があって純粋にその案件の回収の問題の可能性が高そうです(ちなみに唯一の例外の不動産23号はサイトで確認すると既に運用終了になっています)。これはこれで複数ファンドに投資してるつもりでも、結果的に同じ案件に貸し付けてしまうという状況になりますが、こちらに関しては「同じタイミングに運用期間の同じファンドへは投資しない」という方針で対応できそうです。今回の件を見ると特にキャンペーンを連発している時は大型の貸付がある可能性が高そうなのでリスク分散を意識する場合はかぶって投資しないように注意しましょう。