SBIソーシャルレンディングは「キャッシュバック」を活用したキャンペーンを行っています。
現在実施中のキャンペーンの場合、既存投資家と新規投資家で内容が違います。

既存投資家の場合、返済金や配当金をもとに対象のファンドに振替投資(再投資)する場合に0.5%のキャッシュバックを行っています。対象となるファンドは8月11日付けで拡張されており以下の2案件が対象になっています。
「SBISL不動産担保ローン事業者ファンド」
「SBISLオーダーメード型ローンファンド」
これまでは不動産担保ローンのみが対象でしたが、急遽オーダーメード型ローンを追加したのは17日に募集開始予定の太陽光発電事業者ローンの募集を意識してのことだと思われます。
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新規投資家に関しては、「投資家登録+メルマガ登録」で1500円、さらに不動産担保ローン、オーダーメード型ローンへの投資で金額に応じて0.25%〜1.0%のキャッシュバックを行っています(詳細はこちらで確認してください)。こちらは現在進めているSBI証券ユーザの取り込みと、太陽光発電事業者ローンの募集が目的だと思われます。
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ソーシャルレンディング企業が一定の募集金額に達した記念(例えば10億円到達記念)にキャンペーンを行う場合、SBIソーシャルレンディング以外の企業は利率の上乗せを行っています。例えば(現在は金融庁の指導で募集停止中ですが)クラウドバンクの場合、これまでは一定のタイミングでキャンペーンファンドと銘打って通常より利回りの良いファンドを募集してきました。通常5%程度のファンドが6%〜7%程度になっています。おそらく、これらのファンドの場合は事業者の手数料を通常より低くすることで投資家へより多く還元する方法が取られています。一方SBIソーシャルレンディングの場合、募集利回り自体は通常と同じで代わりに事業者の手数料の一部をキャシュっバックとして投資家へ還元する手法をとっています。

投資家にとってはどちらの方法がよりメリットが多いのでしょうか?

クラウドバンクのように、キャンペーンで投資家の利回りを増やす場合、そのメリットは純粋に「利回りが高くなる」という点につきます。
一方、もし還元率が同じであれば、SBIソーシャルレンディングが実施しているキャッシュバックによるキャンペーンは利回りの向上に加えたメリットがあります。

◯投資確定時点でキャッシュ還元が確定される
キャッシュバックの場合、貸付先の返済状況によらずキャッシュバックが行われます。極端な例として、貸付先が一切の支払いを行わずに破綻した場合であっても、0.5%のキャシュっバックが行われます(ファンドの貸付先の状況はキャンペーンの支払い上条件に含まれていません)。クラウドバンク型の場合は、一切支払いがない場合は、キャンペーン分も一切支払いがありません。

◯キャッシュバックは雑所得ではなく一時所得として処理できる
ソーシャルレンディングの配当は、雑所得として配当時点で20.42%の源泉徴収をされた上で、最終的には確定申告で給与所得と合わせた総合課税の対象になります。雑所得20万円未満の場合、確定申告の義務はありませんが源泉徴収分は戻りません。
一方、キャッシュバックの場合は一時所得としてみなされることになるようです。国税庁の定めている一時所得のうち「法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)」に該当すると思われます。
一時所得には「特別控除額」として「50万円」という金額が設定されています。つまり、年間の一時所得の合計が50万円を越えない場合は税金が発生しません。また、これまでの経験的には源泉徴収も行われていません。もしキャンペーンで0.5%利回りが追加される場合、手取りで見るとクラウドバンク型ではの0.4%程度しか手許に残りませんが、SBIソーシャルレンディングの場合は0.5%まるまる残ります。ちなみに、0.5%のキャッシュバックだけで50万円を越えるには1億円の再投資が必要です。

もし一時所得が50万円を越えた場合にも、雑所得よりも有利な条件にあります。一時所得の場合、特別控除を越えた金額の1/2、つまり半分を給与所得等と合算して総合課税の対象となります。日本の所得税は累進課税方式なので、課税所得金額の総額が大きくなればなるほど収める税金の差が大きくなります。給与所得や雑所得と比べて一時所得は大きな魅力があります。

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もちろんキャンペーンの良し悪しは還元率の高さそのものが第一の判断基準になります。実際、クラウドバンクの場合はキャンペーン分は0.5%ではなく1%〜1.5%程度は向上しているのではないかと思います。しかし折角還元してくれるのであれば利回りを良くするよりもキャッシュバックを活用してもらったほうが投資家としてはありがたい、というのが実際のところです。投資家から注目を受けやすい高利回りのキャンペーンの方が資金を集めやすいという事情はあるのでしょうが、投資家としても見かけ上の利回りだけではなく、最終的な手取りを基に判断していきたいものです。クラウドバンクも再開時はキャンペーンはキャッシュバックにして欲しいもんですね。ただでさえソーシャルレンディングは通常の金融商品よりも税金面で不利なケースが多いので、せめてキャンペーンくらいは税金面で有利にしていただきたいです。

ちなみに、まだ紹介していませんがレンディングクラブも現在投資金額に応じたキャッシュバックキャンペーンを実施しています。

なお、SBIソーシャルレンディングの太陽光事業者ローンは17日時点の口座金額から最高10万円(自分で設けている1ファンドあたりの上限)で投資するつもりです。再投資で合計5%です。一応自分なりにリスクの内容も加味しております。