米国のニュースサイト Business Insiderの”Goldman Sachs now wants to lend you money”という記事によるとゴールドマン・サックスがオンラインレンディングに参入するそうです。ソースはNew York Timesのこちらの記事 ”Goldman Sachs Plans to Offer Consumer Loans Online, Adopting Start-Ups’ Tactics”です。


話は1ヶ月ほど前にさかのぼりますが、米大手クレジットカードDiscoverのカードサービス部門のトップだったHarit Talwar(ハリー・タルワールって読むんですかね?)がゴールドマン・サックスに移りました。(参照:”Even Goldman Sachs wants to jump on the online lending bandwagon”)。その目的はゴールドマン・サックスが参入を検討しているオンラインレンディングビジネスを率いるためのようです。

両方の記事を要約すると以下の通りです。

・100名規模のチームを編成し、プラットフォームを開発
・参入時期は2016年初頭
・対象はConsumerとSmall Business両方
・モデルはおそらくP2Pではなく、Direct Lending

ゴールドマン・サックスは支店網がなく既存金融大手のなかでは比較的オンラインレンディングに参入しやすい環境にあるといえそうです。LendingClubやOnDeckといったIPO組のビジネス成長だけでなく、SoFiあたりは機関投資家からの資金提供をうけて貸出を実施しているようでゴールドマン・サックスとしてもただ黙って見てる場合ではない、ということでしょう。他の既存金融の参入もでてくるかもしれません。

ブルームバーグでもこの話題が取り上げられて(Is It Too Late for Goldman's Online Lending Move?:ゴールドマンのオンライレンディング参入は遅すぎないのか?)、ゴールドマン参入の意味や見通しについて議論されています。Matt Burtonという人がコメントしてますが、この人は「今更来ても無理なんじゃない?」って感じです。司会者がやたらとシャドーバンキングじゃないのか、と透明性について疑義を申し立ててるのに対して、Mattが「レンディングクラブやプロスパーは取引の状況についてデイリーでSECに報告している。ものすごく透明性が高い」といってます。Matt自身、機関投資家向けのレンディングプラットフォームの構築企業のCEOらしくベンチャーよりの意見が目立ちますが、この人の会社モルガン・スタンレーの元CEOやシティグループの元CEOが出資してます。

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こちらは先ほどのブルームバーグのニュースのキャプチャですが、今年に入ってから機関投資家からの資金流入のスピードが急激にあがっているのが見て取れます。おそらく昨年末のレンディングクラブとOnDeckのIPOの効果でしょう。ゴールドマンの判断にこの辺りが影響していることは間違いないでしょう。

それにしても、貪欲で名高いゴールドマン・サックスのことなので、たかだか数%の手数料収入目当てでの参入とも思えません。オンラインでサブプライム層にも貸し付けて(ちなみにレンディングクラブはサブプライム層はローンが組めません)、集めたローンを証券化して、CDO組成して格付け機関にBBB以上で格付けさせて、機関投資家に売りつけて・・・。まぁさすがにそんな分かり易いデジャヴは起こさないでしょうが・・・少なくとも自己資金に対しての貸付金のレバレッジはそれなりに効かせるんでしょうね。

大手の参入は本来歓迎すべきなんでしょうが、なんかスッキリしません。業界への規制強化のきっかけにならなければよいのですが。

ちなみに、ブルームバーグのニュースのキャプチャをもう一つ。今後のオンラインレンディングの市場予測です(By モルガン・スタンレー)。青が米国ですが、緑が中国です。中国でか過ぎです。ただ、2018年以降は伸びが鈍化、2020には縮小になっています。この辺りの予測の根拠が聞いてみたいですね。

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