ご存知MRIインターナショナルについて考えてみたいと思います。

事件の概要はご存知のかたが多いと思います。米国の診療報酬請求債権を買い取って回収する「MARS投資」で年率6.0%〜8.5%を謳って1300億円を集めたが2013年に破綻しました。Wikipediaのリンクはこちら
「MARS投資」は、日本人には馴染みがない米国の医療制度を背景とした投資手法で、いかにも「そういうのがありそう」と思わせる絶妙な内容だと思います。

この事件で気になったポイントをリストしてみます。

・1998年創業、破綻まで実に15年生き延びた
・本社が米国に登記されており、日本は支店の扱いだが第二種金融商品取引事業として登録、関東財務局に毎年虚偽の事業報告書を提出していた。その報告書は後に証券取引等監視委員会が「ずさんな内容」と指摘しているが関東財務局は見抜けなかった
日本支店の幹部や社員も事業内容を信用して自身の資産を投資していた。不正は米国本社の社長が主導していたとみられる

他にも
・著名人を広報活動に利用していた
・為替変動が発覚のきっかけにつながった
・大手投資家を米国に招待したり利回りを優遇したりすることでより多くの投資を引き出した
等々、特徴的なものが少なくありません。

また、こちらの記事のように「私は当初からアヤシイと思ってました」的な記事も少なくないですが、かといって発覚前にそれを明確に指摘している記事は必ずしも多くありません。例えば先程の記事の記者の名前と「MRIインターナショナル」で検索しても特に事前にそれを指摘している記事はでてきません。アヤシイと思ってても、発覚するまでは公には言わないものなのでしょうね、きっと。

この事件で教訓として得られるものは

・第二種金融商品取引業としての登録は「詐欺ではない」を意味しない。特に関東財務局は担当が多すぎてチェックしきれない。
 これは以前記事にしたとおりに関東財務局の方もある程度認めざるを得ない状況だと思います。
 この状況に対応するには、万一詐欺的行為を見逃すと自社の損失につながる外部の第三者からチェックを受けていることが重要です。大手企業からの出資を受けていたり(つまりチェックも受ける事になります)、監査法人のチェックを受けていればある程度この点はクリアできるのではないかと考えています。

・投資家が普段接している運営会社の社員は、万一詐欺的な企業であってもそれを知らずに行動している可能性がある。
 AIJ投資顧問事件でも同じでしたが、特定のごく一部のメンバー、通常はその企業の社長か親会社の実力者になると思いますが、そのごく一部のメンバーのみで詐欺的行為を首謀している場合、投資家と接している社員は何ら悪意なく募集活動を続けている可能性がある、ということです。
 この状況に対応するのはかなり難しいです。その企業の社長と話しても(先方はそもそもだますつもりなので)嘘を見抜くのは容易では無いでしょうし、実権が親会社にある場合は面会することすらままなりません。せいぜいできるのは、誰が実質的な経営者なのかを見極めて、その人物の背景を確認するくらいしかないのではないでしょうか。それですべてわかるわけではないでしょうが、多少は判断材料になると思います。
 運営企業の資本構成や役員の経歴が公開されているかどうか、というのはこの点を確認する上で重要だと思っています。もちろん限度はありますが、それでもないよりはマシ、というところでしょうか。

ソーシャルレンディング企業は第二種金融商品取引業の登録が必要で、本問題のあった2013年以降に登録している場合はより厳しいチェックがなされているとは思いますが、それでも万全ではないというつもりで臨む必要があります。ソーシャルレンディング企業が採用している匿名組合という仕組みは、銀行業や証券業はもとより、投資信託とくらべても相当緩い基準なのは間違いありません。投資家自身が個々の企業をチェックする姿勢が求められていると思います。
またソーシャルレンディング企業には、第三者のチェックを受ける姿勢や資本・役員構成の公開をより進めていって、投資家が判断しやすい環境を作っていただきたいと期待しています。

なおMRIの件は、クラウドクレジットの杉山社長も以前ブログで取り上げて(投資型クラウドファンディングの留意点(MRIインターナショナルの例から))運営サイドの視点から問題点を指摘されていますので興味ある方はご覧ください。