私は5年くらい前に流行ったタレブの「ブラック・スワン」を投資の教科書の一つとしています。どんなに条件が良い商品であっても「ブラック・スワン」がいる可能性があるのであれば一定の金額までしか投資すべきではないと心がけるいっぽう、「プラスのブラック・スワン」にちょっとずつ身を晒すことを心がけています。(レンディングクラブの株をNISAで買ったのも「プラスのブラック・スワン」狙いです。ちょっとという割には少し金額多かったですが)
ソーシャルレンディングでも、担保がしっかりしているからと大きな金額を集中して特定の不動産担保商品に投資したら、担保のビルにトラックが突っ込んだり(しかも車が任意保険に入ってない!)、聞いたことのない化学物質で土壌汚染されていることが後でわかったりといった事があると、資金繰りにつまってデフォルトになりかねないだけでなく担保価値は大きく棄損して元本が帰ってこないことも考えられます(かなり極端な例ですが)。これらの事項は決して事前に予想できず、万一発生した際に大きな損失につながりますので、その案件に大きく投資している人にとってはまさにブラック・スワンです。まれに1つの案件に1000万円を超える金額を投資されてる人がおられますが、他人事ながら大丈夫かいなと思ってしまいます。まぁそういう人は資産3億円くらいあるでしょうから大きなお世話なんでしょうが。

逆にソーシャルレンディングの場合どんなに良い結果でも最大のリターンが「投資元本+利回り」でそれ以上のアップサイドがありません。つまりプラスのブラック・スワンはいません。そう考えるとAll or Nothingになりかねない個別型より、投資対象が分散されているバスケット型があっているかなと思っています。

ただ現状のソーシャルレンディングバスケット型案件は融資先の分散が十分といえるかどうかは不明です。おそらくAQUSHのグローバルファンドとクラウドクレジットのペルー小口債務者支援プロジェクトは案件の性質上それなりに分散効果が期待できると思われますが(例えば1000万円のファンドで平均20万円✕50社/人に融資していると仮定すると、2−3社/人デフォルトしても影響は軽微、利率にもよりますがトータルのリターンは元本以上になります)、クラウドバンクの場合運用実績で見ると現状融資先がそこまで分散していなさそうです(だいたい2−3社程度。これだと1社デフォルトでもそれなりにダメージがあります)。融資先の分散が進むと当然管理コストも膨らみますので、国内融資の場合ファンドがそれなりの規模に育たないと十分な分散効果を出すのは難しいかもしれませんし、そもそも融資飽和状況の国内で多くの優良な貸出先を確保するのは難しそうです。投資案件自体を分散することでリスクを平準化することは必須の要件と言えます。
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また、バスケット型であれば商品設計にも幅が出せる可能性があり、ゆくゆくはこの点もアドバンテージになると思います。具体的にはAQUSHが提供している自動再投資はバスケット型でないと成立しません。自動再投資は待機期間の短縮につながるので運用効率の向上になります(つまりリターンがあがります)。ソーシャルレンディング企業が定常的に一定量の融資先を確保できるようになれば、投資期間がより長くかつ途中解約も可能な商品が開発できる可能性もあります。

先行するAQUSH、クラウドバンク、クラウドクレジットが商品をより充実させていくのに加えて、maneoとSBIソーシャルレンディングにも個別型に加えて本格的なバスケット型案件の提供を期待したいです。

決して自分に担保評価能力がないからという理由だけではないです・・・いや、本当に。

追記:タレブの「まぐれ」もオススメです。