◯株主構成

AQUSHの運営会社であるExCoのホームページによると資本金はおよそ1億5千万円ですがその株主構成は公開されていません。
一方ネットで確認すると2014年7月に新しい金融サービス「Paidy」のローンチに向けて3億3千万円の増資を行ったとのニュースがリリースされています。出資しているのはArbor Ventures(香港のVC)、サイバーエージェント系列のVC、リクルート系列のVCです。香港のVCはよくわかりませんが、後はなかなかの顔ぶれです。
さらに調べてみると、ベンチャー向けのリクルーティングプラットフォームであるWantedlyに企業紹介と人員募集が出ていました。こちらで確認すると社員は既に16名(ExCoのホームページでは社員は7名)になっており、さらにIT系のエンジニアを10数名採用しようとしているようです。
Paidyはクレジットカードを使わずにメールベースでオンラインショッピングの決済を行うサービスのプラットフォームの提供を目指しているようです。代表取締役のカマー氏の華々しい経歴を鑑みるとこの新しい金融サービスの立ち上げに入れ込みそうな気がしますし、どうもExCoはPaidyに今後の成長を賭けているように見えます。 

ExCoの増資は経営の安定につながるはずなので本来であればAQUSHの投資家にとっては望ましいと思われますが、実際のところこの状況は好ましいとは思えません
Paidyがうまく軌道に乗ってもAQUSHの投資家は特に得るものはありませんが、万一Paidyがうまく立ち上がらずExCoの経営に悪影響を与えた場合はAQUSHへの投資元本が棄損する危険があります。金融機関の判断と思えず、法務・コンプライアンスが手薄で前のめりな経営陣構成の悪影響を感じます。
本来ExCoの経営をチェックしてくれると期待されるVCもAQUSHの成長ではなくPaidyの成長を期待して出資しているため、AQUSH投資家の保護にプラスになるとは考えられません

ExCoおよびAQUSHのホームページはPaidy向けの出資受け入れ以降会社概要が更新されていません(3.3億円の増資やPaidy事業についてすらホームページでは何ら触れられていません)。実際AQUSHの投資家の方は、ExCoが出資を受けてPaidyという新事業へ乗り出していることを知らない方は少なく無いと思います。運営企業の状況が投資判断上重要なポイントであるにもかかわらず重要な経営方針の転換の情報がないという、投資家への情報提供を怠っている姿勢はいただけません。 Paidyが立ち上がるかどうかは私には全くわかりませんし、増資で資本強化されてますので向こう2〜3年は財務的にも大丈夫だと思います。ただ、今のExCoの姿勢はAQUSH投資家をあまりにも軽視しているとしか思えず、現状では安心してAQUSHのファンドへ投資できません

AQUSHのファンドは運用期間3年なのでとりあえず元本配当自動再投資はオフにしています。現状国内で唯一のLedningClubへの窓口なのでできればグローバルファンドだけでも投資を継続したいとの思いもありますが、投資の安全性がPaidy事業の行方に左右されかねないというのはあまりにも腑に落ちません。
ExCoとしてソーシャルレンディング以外の事業に進出するのであれば、少なくともAQUSH投資家に影響がないスキームを作って投資家へその旨説明した上で実施して欲しいです。非常に残念。