実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

2016年07月

クラウドバンク 第二期有価証券報告書+株主通信(1)業績回復の見込み

クラウドバンクの第二期(2015年4月ー2016年3月)有価証券報告書がEDINETで公開されています(リンクはこちら)。提出日は6月30日で、代表者の氏名が「代表取締役社長 金田創」、連絡先の氏名が「取締役 橋村純」となっており、大前前社長退任後の提出扱いです。

今回のポイントは、既にお伝えした取締役の変更(参照「クラウドバンクの大前社長が退任へ」)と業務停止の財務面での影響の確認だと思います。
第二期の連結決算については、日本クラウド証券の行政処分に伴う業務停止および対策コスト増加等により116,820千円の純損失赤字決算となっています。この赤字決算が大前前社長の引責退任へとつながっており、経営者の責任の所在についてはすでにクリアになっています。

業務停止命令を受けていたので赤字決算自体はある程度想像できていましたが、今後業績回復の見込みはあるのか、また、財務安定面で問題はないのか、といったところが気になります。これらの情報について有価証券報告書だけでなく株主通信の情報を併せて見てみたいと思います。

まず、業務停止後の回復についてですが、こちらはなんといってもファンドの募集金額の推移が重要となります。この点について、株主通信に業務停止期間を挟んだ累計応募金額の推移が掲載されていました。
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こちらで確認すると、業務停止期間前1年間の平均が2.6億円の応募だったのに対して、2015年11月の業務再開後から2016年3月までは月平均3.9億円の資金を集めています。この数字を見る限り、ファンド募集面における業務停止の影響は思ったよりも軽微です。一方成長率は9%増とそれ以前の21%増からくらべると鈍化しており、まったく影響がなかったとまでは言えません。ただし成長率は毎月の応募金額自体が大きくなるに連れて鈍化するのはある程度避けれませんので、影響の度合いは判断が難しいです。

ソーシャルレンディング企業の業績を考える上で重要なのは単純な「募集累計金額」というよりも「運用金額」になります。ソーシャルレンディングの場合、運用ファンドの2%−5%程度を手数料として徴収されており、これがソーシャルレンディング企業の収入の中心となりますので毎月の「運用中ファンドの金額」というのは毎月の手数料収入に直結します。

このため、同じ「募集累計10億円」であっても「運用期間3ヶ月のファンド10億円」の場合と「運用期間1年のファンド10億円」の場合では、得られる手数料収入の合計額は4倍の差があります。一般的にソーシャルレンディングの貸付先は、銀行等の金融機関が避ける短期の貸付案件が多いために、ファンド募集累計金額だけ見ても経営的な安定面の情報としては参考にならないことが少なくありません。唯一の例外は3年のファンドを中心としたクラウドクレジットだったのですが、最近は期間の短い案件も増えてきたので以前ほどは累計だけ見ても分からないようになっています。
今回、クラウドバンクの株主通信に運用金額の推移が掲載されていました。こちらでみると、業務停止命令直後の運用額が24.4億円だったのが、業務再開時点では14.3億円まで低下してしまっていたようです。これは停止期間中に新規のファンド追加ができない一方で、償還が行われていことに起因します。その後新規ファンドの募集再開され2016年3月末時点で22.2億円まで回復、成長率も12%とファンド募集の金額を超えて成長しています。

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これらのデータを見る限り、収益の中心となるファンド募集及び運用については一定の回復が進んでいるようです。
もっとも業績面の回復についてより正確に判断するには、業務停止前後それぞれについて貸出金利とファンドの利回りのスプレッドの情報が必要になります。正確なデータではありませんが、業務再開以降のファンド利回りが以前より高くなっていると感じていますので、おそらくスプレッドは小さくなっているのではないかと思います。スプレッドの縮小を補うにはより多くのファンドを運用する必要がありますので、その点は意識しておく必要があります。もっとも、以前と比べると広告を見る頻度が明らかに減っていますので顧客獲得用のマーケティング費用を抑えてスプレッドの縮小分を補っている可能性もありそうなのでそれほど意識しなくて良いかもしれません。


クラウドバンク・行政処分後の業務改善内容

クラウドバンク事業の主体である日本クラウド証券は、2015年7月に3ヶ月間の業務停止を伴う行政処分を受けました。行政処分の3ヶ月を過ぎた時点でも業務改善の一部が完了していないという理由で自主的に1ヶ月間業務停止を延長しています。その後業務は再開にあたって「業務再開の準備が整った」旨のメールはありましたが、具体的な改善内容についてはこれまで目にする機会がありませんでした。

6月に届いた株主通信で「日本クラウド証券の行政処分に関して」というページがあり、行政処分の経緯と業務改善の内容についての説明が記載されています。自分自身これまで不明だった点が多少理解できましたので、今回はその内容についてご紹介します。

経緯についてはクラウドバンクの「処分に関するQ&A」で確認していただくとして、改善内容について内容を転載します。本来各項目について2−3行での説明が付与されているのですが個人的に重要だと思うと項目のみ補足説明をいれておきます。

1.経営管理態勢、業務管理態勢、内部管理態勢の整備
  • 実務責任者の取締役への登用
  • コンプライアンス委員会による検証・牽制態勢の確率(外部専門家をコンプライアンス委員に加え、取締役会の決議事項を事前にコンプラス委員会で審査する態勢)
  • 新たな内部管理統括責任者の就任
  • 第三者機関による業務監査の実施(業務改善の実効性及び実施状況のを検証、運用態勢の評価を目的として第三者機関による外部監査を実施、今後も四半期ごとに業務監査を実施する契約を締結済み)
2.正確な顧客預かり金残高の把握、全顧客を対象とした残高照合と顧客分別金信託の適切な管理
  • 第二種業務に係る顧客預り金を第一種業務に係る顧客預り金から分離して管理(行政処分の一因となった第二種業務(クラウドバンク事業)の業容拡大によるシステム連携の問題に起因する顧客残高不一致の原因は、第一種業務(グリーンシート事業)の未入力入出金だったことが判明している)
これらの業務改善策について、2015年9−10月および2016年2月に外部機関による業務監査が実施されており、各種管理態勢について改善、相応に機能しているとの評価を受けていることが併せて記載されています。
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また、Q&Aのページで「行政処分による影響についてはどのように見ているのか。そして、その立て直しをどのように考えているのか」といった想定質問の回答が記載されています。サマリーは以下の通り。

「今回の行政処分の影響は3つに分かれる。

・4ヶ月間の業務亭による業績への影響
 → 2015年度は1年の3分の1の期間の募集停止により赤字決算に。2016年度は連結黒字化を目指す
・投資家の信頼を残ってしまったことに対する集客活動への影響
 → 今回の改善点をしっかり説明することで信頼を回復していきたい
・財務局・金融庁の当社の見方への影響
 → コンプライアンス担当をはじめとする証券業の経験者の充実や社内研修による法令遵守意識を高めて当局の信頼熟成に努める」


ここまでの内容についてどう評価するかは人によって異なると思いますが、個人的には条件付きで期待していた内容をクリアてきていると考えています。条件としては、「コンプライアンス委員の外部専門家」や「業務監査を実施している外部機関」が本当に有効な外部の第三者であること、です。今回の報告では外部の組織についての具体的な説明が割愛されているため、本当に有効な監査が実施されているかどうかが判断できません。外部機関の公表については今後是非検討してもらいたいです。

一方で、信頼回復に向けた投資家に対しての説明については十分に実施されているとは思えません。その必要性自体は認識しているようなのでセミナー等での説明は実施されているのかもしれませんが、サイトでの情報開示や説明動画のアップ等を検討していただきたいです。

業務監査については、第三者によるチェックを受けるという点での価値は非常に大きいと思いますが、それなりのコストがかかるでしょうから中期的には頻度についての見直しも必要になってくると思います。それでも最低年1回は監査法人の監査に加えて、業務監査を受ける態勢を維持して欲しいです。失った信頼を回復するのには時間はかかるでしょうが、着実に対応を進めることが一番の方法ですから。
 

AQUSHからの資金引き上げ

AQUSHについては運用中のファンドの完済を待って引き上げを予定していましたが、該当のファンドが当初の終了期間より1年程早く償還されましたので全額を引き上げることにしました。出金指示画面から出金可能額全額を指定し、ほどなく指定の口座に振り込まれましたので、これにてAQUSHとの取引は終了となります。およそ2年間、幸いデフォルトに合うこと無く、およそ5万円(源泉徴収後)の配当収入をいただくことができました。

AQUSHでは、やはりレンディングクラブへの投資ファンドであるグローバルファンドの取り扱いが中止となってしまったのが影響が大きかったです。レンディングクラブに関してはその後直接投資の道が開けたため一層投資を強化することになりましたが、AQUSHに関しては実質的に保証ローンファンドしか存在しない状況になってしまっており、運営企業のEXCO社の方針転換もあって今後の改善も期待できないために引き上げの判断となりました。

日本のソーシャルレンディングの中では、ダントツでITの実力が高い企業だと思っていましたので、ソーシャルレンディングから決済事業への方針転換は個人的には残念でした。Paidyの動向は追っていないため現在のEXCO社の状況は全く把握できていませんが、Paidyが成功してそれを活かした金融商品の開発に繋がることをお祈りしております。

ちなみに、出金可能額を全額引き上げたんので口座の現金は0なのですが、なぜかポートフォリオに62円残っています。運用金額は-6641円という謎の値。
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もう引き上げたので詳しくは調べてませんが、以下の画面の通り「当初の出資元本」と「回収元本」の差異をそのまま表示しているようなので、おそらく延滞金や何かしらの手数料収入が配当金ではなく「回収元本」として計算されていおり当初資金より回収元本が大きくなったのが原因なのかなぁとぼんやりと考えています。
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やっぱり、「ITはいいけど金融実務面はちょっと苦手」な印象ですかね。
今後もがんばってください。
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