実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

2015年11月

「突然吹っ飛ぶ」に立ち向かう:リカバリー待ち投資(2)

以下実際にリカバリー待ち投資を行うにあたっての考慮点を上げてみます。

・特定のアセットには資産全体の10%〜20%程度を上限にする

まず基本として、インカムゲイン狙いの突然吹っ飛ぶ系アセット(例えば高配当債権とか高配当株とかソーシャルレンディングとか)一つ一つに割り当てる資金は資産全体の10%〜20%程度を上限とするようにしています。そうすれば特定のアセットがまるまる吹っ飛んだ場合であっても、ダメージはありますが致命傷には至りません。どの程度の割り当が適切なのかは人によって様々だとは思いますが、表面的な高利回りに欲が出て特定のアセットに大きく投資しすぎると吹っ飛んだ時の影響がシャレになりませんので「万一まるまる吹っ飛んでも耐えらるか?」と自問して投資枠を決めましょう。ここでは「自分だけは無傷で逃げきれる」と決して思わないことが大事かと思います。人間は「自信過剰」になる癖があるので、意識しないとついつい「自分は大丈夫なはず」と思い込んでしまいます。注意しましょう。


・レバレッジは絶対にかけない

突然吹っ飛ぶ系の投資は順調な時は安定がずっと続くもんだと錯覚しがちです。このため運用効率を高めるために、ついついレバレッジを掛けたくなりますが絶対に止めておきましょう。典型はFXのレバレッジ比率を高めてしまうことだと思います。レバレッジって要するに借金のことですが、例えば年率10%のスワップポイントがもらえるのであれば、年率5%の金利で借金して運用しても5%余分に手許に残ります。同じ投資元本なら確かにレバレッジをかけたほうがリターンは大きくなります。ずっと順調であれば、ですけど。ある日、為替が大きく動いて含み損が膨らむと追加の証拠金を差し入れる必要が出ます。それが出来なければロスカットされて一気に損失確定してしまいます。レバレッジをかけてロスカットになった場合、手持ちの商品をマーケットの最安値近辺で売らないといけない可能性が高くなります。FXでもレバレッジかけてなければ強制ロスカットされる可能性は(完全にゼロにはなりませんが)かなり下がります。突然吹っ飛ぶ系の場合、運用効率が下がってもレバレッジは避けることは必須です。


長期運用資金で運用する

また、運用資金の性質も大きく影響します。1−2年後に必要になる資金で運用するのでああれば値下げ幅が大きくなり過ぎないうちに売り払いたくなるでしょうが、10年−20年後に取り崩すつもりの資金であれば直近の価格下落の影響はそれほど気にかける必要はありません。私は、価格の動向を長期的に見れば、上がったものは下がり、下がったものは上がるといった変動を繰り返す可能性が高いと思っています。株価や不動産市況、為替レートなど価格が大きく下落しても、時間が経てばやがて値を戻すケースは過去何度も繰り返されています(ただし、個別銘柄の場合は下がったまま二度と上がらないこともありますので銘柄分散は必須です)。定期的なインカムを確保しながら価格変動を乗り越えるためには、長期投資が可能な運用資金を確保することが最も重要なポイントかもしれません。


投資銘柄を分散させて一つの銘柄のデフォルトが全体に影響が出ないようにする

少し前に検証したように(参照:銘柄分散の効果(1))、ハイイールド債ETFは多くのジャンク債権を銘柄分散して保有しています。一つ一つの債権はデフォルトになるとその時点で吹っ飛ぶことになり価値がゼロになりますが、多くのジャンク債銘柄を分散保有することで一つのジャンク債の価値がゼロになってもETF全体の価値が全損することはありません。このため一つ一つの個別銘柄に資産のどの程度を投資するかは自分なりに上限を決めておくほうが良いと思います。
例えば、ソーシャルレンディングに100万円投資する場合に、
  1. 1万円で100件投資する
  2. 10万円で10件投資する
  3. 100万円で1件投資する
といった選択肢で投資先の重複がない場合は、間違いなく1>2>3の順番で安定性が高くなります。
1銘柄あたりの比率をどの程度にするのが良いかは投資元本の大きさや投資対象によってある程度柔軟に対応する必要はあると思いますが、例としてレンディングクラブでは一つのNoteが投資元本トータルの1%を超えているかどうかでリターンの振れ幅に差がでるというデータが提示されています。
私がソーシャルレンディングで1案件あたりの上限を10万円に設定してるのもまさにこのためです。ソーシャルレンディングの投資上限をとりあえず1000万円程度としていますので10万円だと1%です。本当はもっと細かく投資したいのですが現状の各社のサービスだと難しいですね。1万円✕1000件(しかも重複なし)が実現できればかなり良い投資方法になると思いますが、残念ながら1000件も案件ないですしもしあっても恐ろしく手間がかかるでしょう。

なお、日本のソーシャルレンディングでクラウドクレジットのファンドだけは単体のファンドでもそれなりに分散効果が期待できます。

次回に続きます。


「突然吹っ飛ぶ」に立ち向かう:リカバリー待ち投資(1)

インカムゲイン狙いで突然吹っ飛ぶ系投資を行う場合、リカバリー待ち投資(私が勝手に呼んでるだけで一般的な言葉ではありません。名称はあまり気にしないでください)が向いていると思っています。今回はそちらをご紹介します。

金融商品の価格が突然下落した場合の対応手法はいくつかあります。ロスカット、ナンピン、ホールド。どの手段を選択するかは投資家個人のポリシーや投資方針によって多様であるだけでなく、金融商品の性質によってもふさわしい対応が変わってくるのではないかと思います。例えばキャピタルゲイン狙いであれば早々にロスカットして値上がりしそうな銘柄に移ったり、反転を期待してナンピンを行うといったことが普通に行われます。ちなみに、キャピタルゲイン狙いで株に投資するような場合、私自身はナンピンに傾きがちです。キャピタルゲイン狙いは基本的にはバクチだと考えているのでどうしても大きく取りに行きたくなってしまうのですが、結果はだいたい・・・まぁ、この話題はやめときましょう。

インカムゲイン狙いで高利回りの商品に投資する場合、いきおい突然吹っ飛ぶ系の商品に投資することになりますが、いきなり吹っ飛んで大きな損失が出た場合であっても条件が揃えば含み損を抱えてもインカムを得ながら値段が戻るのを待つという戦略が検討できます。

金融商品は急落しても中長期的には価格を戻しているケースが少なくありません。以前ハイイールド債ETFの基準価額の動向を検証しましたが(参照:ハイイールド債(2))、サブプライム危機直前の高値で購入していた場合、リーマン・ショック直後に40%程度の価格下落に落ち込んだがその後継続して保有することで2009年後半には早くも元本回復、その後継続してリターンを上げ続けていることが確認できました。急落した時にロスカットせずに値が戻るのを待てる環境を作ることは大変重要なことが理解できます。可能な範囲で大きな価格変動を避けつつ、万一大きな価格変動があっても値戻りを待てるように予め準備しておくことで、さらに吹っ飛ぶ系商品への対応力が向上します。これがリカバリー待ち投資の基本的な考え方です。


「価格が想定より下がったらロスカットしないとダメだ」という意見もありますが、キャピタルゲイン狙いであればともかくインカムゲイン狙いの場合ロスカットは必須ではないと思っています。価格が際限なく下がってゼロになるリスクもありますが、ある銘柄がゼロになっても全体への影響が抑えられるように投資銘柄を分散しておけば対処可能です。
また、価格下落後しばらく経過してから価格が戻ったとしてもロスカットしないことによる機会損失が発生しているといった指摘があります。曰く、下落した銘柄を売却してその資金を値上がりする銘柄の購入にあてることで得られたはずの(架空の)値上がり益を逃している、ということです。
インカムゲイン狙いの場合そもそも値上がり益は狙っていませんし、そもそも確実に機会損失が発生するのはどの銘柄が値上がりするのかが事前に分かっている場合のみです。ロスカットして別の銘柄に乗り換えてもその銘柄が上がるのか下がるのかは基本的に運次第であくまでも結果論になります。事前に予測はできません。それであれば中長期で価格が一定であるという仮定で上がっても下がってもそのまま保有してインカムを受け取り続けるという方が、運頼みで手数料払って銘柄乗り換えを行うよりも良いのではないかと思っています。

ロスカットを避けるという表現だけだと、アホールドとか塩漬けと揶揄される投資手法に近いですが、個人的にはもう少し積極的に「基準価額の変動を無視できる環境を積極的に作って定期的にインカムゲインを得ることを実現する方法」と捉えています。

次回はリカバリー待ち投資の方法・条件について。

 

突然吹っ飛ぶ系の投資商品

少し前にナシーム・ニコラス・タレブの「まぐれ」を再読していたいのですが、興味深い記載がありました。
第3章で出てきた歯医者はボラタリティが嫌いだった。変動率が高いとひどい苦しみを頻繁に感じるからだ。自分のパフォーマンスを頻繁に調べれば調べるほど、変動性を高い解像度で見ることになり、苦しみも大きいのだった。だから投資家たちは、ただただ情緒的な理由で、変動する時には大きく変動するけれど、極稀にしか変動しない投資戦略にひきつけられてしまうのだ。
(中略)
市場参加者は損失の回数が少ないのを好み、利益の回数が多いのを好む。全体としてのパフォーマンスの最適化を考えるわけではない。
(ナシーム・ニコラス・タブレ「まぐれ」143ページより引用)

これってソーシャルレンディングにもまんま当て嵌まる警句ですね。

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
ナシーム・ニコラス・タレブ
ダイヤモンド社
2008-02-01




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順調な時はボラタリティが低く安定的なのに、突然前触れなく大幅な損失を出す投資商品があります。例えば、スワップポイント狙いのFXや高金利狙いの新興国債券やジャンク債、オプションの売りなんかは、定期的に少額のインカムがあり通常時は収入がどんどん積み上がっていきます。そのまま何事も無く運用が続けばよいのですが、ある日突然大幅な損失を出す可能性があります。例えば、今年1月にあったスイスフランショックではスワップポイント狙いでコツコツ稼いでいた投資家が文字通り一夜にして大幅な損失を被りそれまでの稼いだ分はもちろん元本まで吹き飛ばすという事態になりました。また新興国債券の場合は、いわゆるソブリンリスクと為替リスクの2重のリスクと引き換えに高い金利収入を得るというものになっています。著名な例ではLTCMがロシア債のデフォルトで吹っ飛びました。
他によく似たものでは、投資商品ではありませんが、損害保険の運営は同様の課題を抱えていますす。毎月保険料を徴収して特に災害がなければ保険料はそのまま収入になりますが、一度想定以上の災害が発生すると大量の保険金の払い出しが必要になり準備金で賄えなければ破綻の可能性もあります。「ヤバい統計学」という本ではハリケーン保険で稼いでいたフロリダの損害保険会社が10年かけて積み上げてきた収益金を一気にふっ飛ばして破綻した例が取り上げられています。破綻するまでは非常に優秀な企業として讃えられていたのに、です。金融商品でいうとオプションの売りは価格変動の保険を販売することになるのでこれと同じリスクがあります。

これらの投資は順調な時はボラタリティが低く、定期的に金利収入が入ってくるため裏に潜んでいるリスクを過小評価しがちです。本来投資というのは勝ち負けの回数や勝率は重要ではなく最終的なリターンや損失の量が重要なのですが、人間はダメージの大小に関わらず損失に触れると強く不快に感じる性質があるため、1回だけ大きく負けるよりも少しずつ何回も負け続けるほうが不快感が大きく感じるようになっています。その性質にうまく付け入っているのが、先に上げた「通常時は定期的に金利収入があるが、潜んでいたリスクが発現すると一気に稼ぎと元本(まるごとあるいは一部)が吹っ飛んでしまう」投資になります。毎月少額(元本の数%)の金利収入を得てアドレナリンを得る代わりに、たった一度の負けで突然元本ごと一気に吹っ飛んでしまうリスクに目をつぶっていることに気付かないことも少なくありません。実際に吹っ飛んでから「XXXさえなければうまく逃げきれるはずだった」って。XXXはいろんなモノが入ります「スイス中央銀行の突然の方針変更」「日銀の緩和バズーカ」「急激な原油安による新興国財政不安」「ギリシアの虚偽報告」最近だと「中国株市場の崩壊」とか。これからもXXXに入るモノは起こり続けるのでしょう。

ソーシャルレンディングもまさに同様のリスクを抱えています。順調な時は毎月分配が入りますが、突然貸出先がデフォルトしてしまうといった状態になると、それまでの金利収入を吹き飛ばして元本部分も毀損する可能性があります。というかよくよく考えると、インカムゲイン狙いで投資する高利回り商品のほとんどは突然吹っ飛ぶ系の商品です。利回りが高いということは裏に相応のリスクが潜んでいるワケですから。つまりインカムゲイン狙いで投資を行うということはこれら突然吹っ飛ぶ系の商品とはうまく付き合っていく必要があります。リスクを避けて通るというのももちろんありだと思いますが、せっかくの高利回り商品なのでなんとかうまく資産構成に組み入れたいものです。ただし「突然吹っ飛んでしまう」という本質的なリスクは回避できないので、それ以外のリスク要因をコントロールして付き合う必要があります。

次回、具体的な対応方法について。

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