実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

2015年10月

銘柄分散の効果(1)ーハイイールドETFの分散度合いー

当ブログでは分散投資をオススメしておりますが、「分散」にはいろいろな意味があります。「投資アセットの分散」や「購入・売却時期の分散」等はもちろん重要ですが、加えて同一投資アセットの「投資対象銘柄の分散」というのも重要だと思っています。株だったら「個別株」より「インデックス」、現物不動産だったら「マンション1棟買い」より「ワンルーム複数所有」って感じでしょうか。

米国のハイイールド債権は日本の個人投資家にも人気がありますが、実際に特定企業の投資不適格債/ジャンク債を購入しているわけではなくETFや投資信託を通じての投資が主流だと思います。ハイイールドETFだと、以前取り上げたBlackrockのHYGやState StreetのJNKがメジャーどころかと思います。ETFの場合、それぞれがもつハイイールド指数に連動するように設計されており、実質的には多くのジャンク債個別銘柄に分散投資されています。
HYGは保有している銘柄をCSVフォーマットでダウンロードできるようになっているので、これを参考にどの程度の分散がされているのかを見てみましょう。(使用しているデータは2015年10月23日のものです)

まず、HYGが保有しているジャンク債の数ですが、合計でおよそ1,000件、平均年利は6.38%です。すべての債権が同じ金額・利回りだと仮定すれば1000件中60件デフォルトしてはじめて元本割れする計算になります。実際、一番大きなジャンク債が全体に占める割合は0.52%におさえられています。一見かなり分散されている印象です。

ただし、ジャンク債の発行企業でくくると分散度合いが減じます。企業数でみるとHYGは500社のジャンク債を保有しており(1社あたり平均2債権)、単純計算では500社中30社のデフォルトで元本割れになります。60/1000も30/500も率でみれば同じなので一見違いがないように見えますが、標本数が大きくなればなるほど本来の確率の平均へと近づいていく「大数の法則」という法則があります。例えばサイコロ6回なげても1−6まで全部1回ずつ出る可能性は高くなさそうですが、6,000,000回投げれば1−6がぞれぞれ1,000,000回近辺の回数に近づいて行きます。標本の数を増やせば増やすほど本来の確率に近づいていきます。逆に言うと、標本の数が小さくなればなるほど、つまり分母が小さくなればなるほど現れる結果のバラツキは大きくなります。どの程度の差になるかはきちんと理解できていませんが、1000と比べると500のほうが極端な結果(例えばデフォルトが10%発生する)が現れる可能性は高くなるのは間違いないです。

さらに、最も保有数の多いHCAという企業については実に11件のジャンク債を保有しており全体に占める割合は2.22%になります。HCAがデフォルトしたら、HYGの2.22%が飛んでしまうということです。全体に占める割合が1%を越える企業が13社あり、13社の合計で17.5%にのぼります。この13社のウチ5−6社デフォルトしたら元本割れするリスクがある、という点は注意が必要です。500社中の5−6社なので社数で見るとわずか1%です。1%のデフォルトは十分ありえそうです。よく言われる通り平均だけではなくバラツキの確認が重要だということも示唆していますね。

今回はちょっと厳し目に評価してみましたが、実際のところ「500社への分散投資」や「最も保有率が高くて2%強」という環境を一つのファンドで実現できるところはやはり優れた商品だと思いました。私が持ってるのはHYGではなくJNKですが。

ではオンラインレンディングやソーシャルレンディングではどうでしょうか?
 

再考:クラウドクレジットのペルー・小口債務者支援プロジェクト(2)

◯不良債権リストの違法性リスク
以前NYTの不良債権ビジネス記事について紹介しましたが、この記事では回収業者がアンダーグラウンドなブローカから不良債権リスト買い取ったら、他の回収業にも同じリストが重複して販売されていて回収できないといった例が紹介されています。
ペルーファンドも、不良債権リストを買い取るところが実際の投資のスタートになりますがどこからリストを調達するかは違法性を排除する上で重要だと思っています。以前この点を杉山社長に確認したところ、クラウドクレジットの第二種金融商品取引業の登録にあたって「ペルー国内の金融監督庁の監督下にある金融機関の延滞債権の買取を行う」としている旨の回答をもらいました。どこから調達しているか、という点については回答をもらえなかったのですが、先ほど(前回記事)と同じ「今後の運用方針」に

金融機関に加えて、投資ファンドの延滞債権ポートフォリオの購入も検討(ただし当初のオリジネーターが金融機関の案件のみ)

とあります。これをみると、これまでの買取は金融機関から直接不良債権リストを購入していたようなので違法性や所有権の問題はなさそうです。
今後は投資ファンド経由のものの購入も検討しているようなので、その場合は購入時の厳密なデューデリジェンスの実施及び投資家への情報公開が重要になってきます。ただし債権の発行元はあくまでも「ペルー国内の金融監督庁の監督下にある金融機関」ということなので、購入元の投資ファンドのチェックができればリスクはそれほど大きくはなさそうです。

蛇足ですが、NYTの記事は昨年出版された「Bad Paper」という本の紹介記事でした。最近ペーパーバック版が出たようなので興味ある方はどうぞ。不良債権回収ビジネスについて、どんなリスクがありそうかに加えていかにリターンが大きいかもよく分かると思います。




◯不良債権リスト購入機会ロスリスク

不良債権回収ファンドでは不良債権リストを購入するところから投資が始まりますが、実際にリストが売りに出された時に手許に現金がないとリストを購入することが出来ません。クラウドクレジットのペルーファンドではファンド募集で集まった資金をもとに不良債権リストを購入しているようなので、募集してから実際にリストが売りに出るまでの間に待機期間が発生してしまいます。この待機期間はファンド運用から最初の6ヶ月が無配当になる理由の一部だと思います。この点に関連して「今後の運用方針」で

現地の銀行からコミットメント・ラインを得、新規案件購入の柔軟性を増す

とあります。現地銀行から必要な時に予め決まった上限までの融資を受けられるように約束を取り付けておくことで、価値の高そうな不良債権リストが売りだされた時に手許に現金がないという理由で見送らないといけないリスクを減ずることが出来ます。また、結果的に投資資金の待機期間の縮小にも繋がるのではないかと期待されますが、この点は融資資金の金利との相殺になるかもしれません。


◯残ってる疑問
残っている疑問としては以下がありますので機会あれば確認していきたいと思います。

・各ファンドと不良債権リストの組み合わせはどうなっているのか
ペルーファンドはこれまでに10本販売されていますが、一方で不良債権リストは4機関から購入したことは分かりますがいくつ購入しているのかが不明です。それぞれのファンドと不良債権リストの組み合わせがどうなっているのかもよく分かりません。もし、個々のファンドが特定のリストに紐づいているのではなく、あくまでもペルー子会社への貸付扱いで結果的にリスト全体と紐付いているのであれば、今やってるみたいに1本10万円とかで分散して購入する意味がありません。そもそもファンド自体で回収先のリスク分散はされているので、いつ買っても同じなんだったら50万円単位とかでまとめて買いたいと思っています。

・各不良債権リストの債務者数と平均債務残高
この内容が分かればどの程度回収先が分散されているかの目安になります。
同じ額面1000万円のリストでも10万円✕100人と100万円✕10人では、1件あたりの回収リスクの大きさに違いがあります。もっとも回収コストを考慮するとやたらと分散されていればいいというものでもないでしょうが、どの程度分散されているのかはやはり気になりますね。

・投資家のアップサイドはない?
現在運用されている商品は想定より回収率が高くなった場合に、投資家へはアップサイドのリターンはないと理解しています。10%台のリターンなのでそれ以上贅沢言うなといわれそうですが、追加でリスクを負担してもよいのでアップサイドの機会もある商品も出てくるとうれしいですね。これは疑問というより要望でした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今思えば最初の頃は十分理解できないまま投資をしていましたが、何度か杉山社長の説明を伺う機会を経て「ひょっとしてペルーファンドって思った以上に良いファンドじゃないか」と思い始めていたのですが情報不足で記事に出来ていませんでした。ここでいっている「良いファンド」というのは「リスク分散が優れていて期待利回りの達成可能性が高いファンド」という主旨です。今回は残念ながら説明会に参加できませんでしたが、ファイアフェレットさんのおかげで知りたかった情報の一部を得て自分の認識との相違がなさそうなことを確認でき、この記事にすることができました。

クラウドクレジットのペルーファンドは一般の個人投資家がふれることの出来ない投資機会を提供してくれます。まだ課題もありますが、個人的には日本のソーシャルレンディング企業が現状提供している商品の中でペルーファンドは一番のお気に入りです。実際は「レンディング(貸付)」ではなくて「コレクション(取り立て)」ですけど。かなり細部まで情報開示をしている姿勢も高く評価したいです。

次はメキシコですね。期待しております。





再考:クラウドクレジットのペルー・小口債務者支援プロジェクト(1)

クラウドクレジットが今月「ペルー・小口債務者支援プロジェクト運用報告会」を開催しました。残念ながら私は参加できなかったのですが、ファイアフェレットさんの「ソーシャルレンディング赤裸々日記」でセミナーの情報を詳細にレポートされておられるのを拝見したところ、以前から疑問に思っていたところが何点かが説明があったようです。その情報を参考にさせていただいて改めて「ペルー・小口債務者支援プロジェクト」(以下「ペルーファンド」)について考察したいと思います。
なお、先にファイアフェレットさんの該当記事をご覧いただくと良いと思います。

一般的なソーシャルレンディング商品は資金を貸し付けて、その利子を源泉に配当を出すという形態です。一方、ペールーファンドは大きく違い不良債権回収ファンドです。不良債権ファンドは一般の個人投資家がふれる機会は通常ありませんが、大きなリターンを狙える投資機会です。
例えば貸し倒れになった100万円の債権を100個まとめると権利額面1億円になりますが、これを額面の数%、例えば5%として500万円で元の債権者である銀行などから買い取って債権者となり、債務者に対して回収を行います。この例の場合、手数料を考慮しなければ、100人中5人から額面100万円全額回収、100人中10人から額面の半分の50万円回収、100人中100人から額面5%の5万円回収、などで元本確保となりそれを上回る分はすべてリターンになります。もし100人中6人から100万円ずつ回収できれば投資元本500万円に対して600万円、実に20%のリターンです。100人中たった6人で、です。

通常少ない元本で大きなリターンを得るにはレバレッジをかけないと実現できず最悪の場合大幅な損失が発生するリスクがありますが(例えばハイレバのFXや信用取引)、不良債権回収の場合レバレッジは必要ないので理論上投資元本以上の損失は発生しません。

ペルーファンドの期待リターンは年10%台と高いですが、仕組み的には十分狙えるものだと思います。一方で期待通りに行かないリスクも当然あり、非常にユニークなファンドであるがゆえに他のソーシャルレンディングのファンドとは全く違いますので、検討するべきリスクも独特なものが少なくありません。
以下、ペルーファンドのリスクについて見ていきます。

◯回収リスク
一番のリスクが想定通りに回収できないことにあるのは間違いありません。何といっても期限内に返済しなかった人や会社が相手ですからね。想定より回収できない場合は、予定している配当が実施できない可能性や元本割れの可能性もあります。

ペルーファンドの場合、実績のある現地回収業者と提携しており、回収業者への手数料支払いは成功報酬制にすることで、回収率向上が業者のインセンティブになるように設定されているようです。
もともとの返済ができなかった人が、一定期間を経過した後に返済が可能になることは決して多いとは言えないでしょうがそれなりにありえそうです。また、回収にあたっては額面全額を回収する必要はないという点は回収率改善に貢献すると思います。額面5%で買い取っていれば100万円の債権を20万円や30万円に減免しても大幅な利益があがります。額面を減免することで返済が行えるケースはそれなりに期待できそうに思います。不良債権リストを買取る価格が低いほど回収しやすくなりますのでココはプロジェクト成否のポイントのひとつですが、ペルーファンドでは買取価格は「額面の数%」と表記されています。一般的なイメージで言うと5%前後ということでしょうか。

セミナーでは、買い取った不良債権リストごとの回収率の予測と実績値が公開されたようです。今後時間が経過するごとにデータが蓄積されることで、回収率の想定の精度が上がり結果的にリスクを低くしていくことに繋がるのではないかと期待しています。

◯為替リスク
クラウドクレジットの説明では、「投資家は円建ての契約を持っており為替リスクはクラウドクレジットのペルー子会社が負っている。投資家が負う為替リスクは送金にかかわる3日程度の間のドル円の変動リスクのみ」とされています。ただ、私はこの説明で納得出来ない点があります。ペルー子会社が負っている為替リスクは最終的には投資家が負うことになるはずだと考えており、その点についての情報が欲しいとずっと思っていました。

例えば1ソル=36円のレートで、元本3600円(100ソル)、円建て利回り10%で1年間投資した場合で試算します。この場合、ペルー子会社は日本サイドへは1年後に3960円支払うことになります。また仮にペルー子会社は為替リスク対応に目的に10%をバッファしているものとします。
順調に運用されれば1年後のペルー子会社にはバファ分を含めて120ソルが入り、そこから3960円を投資家へ償還します。
この時のレートが1ソル=36円であれば3960円を支払うには110ソルですみますが、仮に円高がすすんで1ソル=30円になっているとペルー子会社は3960円支払うために132ソルを用意する必要があります。為替リスクのバッファ分を加えても120ソルしかないので無理ですね。120ソルを全額支払っても3600円にしかなりません。もし1ソル=25円になると120ソルは3000円にしかならず、投資家は元本割れになります。

一方で円安が進んで1ソル=50円になった場合、ペルー子会社は79.2ソルの支払いで済みますがこの場合に投資家にアップサイドは発生しません。つまり、現状の仕組みではソルに対して大幅な円高のリスクは最終的に投資家がかぶるが、円安の場合のリターンは発生しないという非対称性があるのではないかと思っています。どの程度の為替変動が発生した場合に為替の影響が発生するのか、つまりどの程度のバッファを想定しているのかという情報が公開されていません。というかそもそもこの認識が正しいのかどうか自体確認が取れていません。

この点に関してはセミナーでも説明はなかったようですが、「今後の運用方針」をみると

為替ヘッジ取引を行い、現地子会社が負っている為替リスクを低減

とあるので、クラウドクレジットもこの点に関して問題意識を持って対応しようとしていることが見て取れます。これ大事だと思ってますので早くやってください。

本当は為替ヘッジなしにして(ペルー子会社ではなく)投資家が為替リスクを負うのが好みなんですけどね。




メッセージ

名前
メール
本文
ランキング
記事検索
最新コメント
livedoor プロフィール
  • ライブドアブログ