実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

2015年09月

日米不動産レンディング比較(2)ーリターン実績12%、米国不動産オンラインローンー

GROUNDFLOORは「Real Estate Lending(不動産向け融資・貸出)」を謳っており、経営陣や取締役等のメンバーもVC以外にやたらと不動産業界の経歴を持ったメンバーが揃っています。CEOがブログで「(自社のReg A+承認で)$70B(8兆4000億円)のReal Estate Lendingが個人投資家に開放されることになった」という主旨のコメントを載せています。

プレスリリースを最初に読んだ時は、GROUNDFLOORがReg A+使用して自社の資金調達を行うのかと思ったのですが、良く良くみるとReg A+を使って不動産事業者向けの貸出を行う仕組みを作っているようにもみえます。そこでGROUNDFLOORのReg A+のOffering Circular(「目論見書」みたいな感じ)をざざっと斜め読みしてみたところ、やはり自社資金の調達ではなく不動産事業者向けの貸出資金の調達だということが分かりました。日本のソーシャルレンディングでは匿名組合を使って個人投資家から資金を集めて貸付を行いますが、GROUNDFLOORでは匿名組合の代わりにReg A+を使って証券を発行して個人投資家から資金を集めるようです。

Offering Circularにジョージア州の案件一覧が実績として掲載されていますのでちょっと見てみました。42プロジェクトに対して合計$2M(2億4000万円)調達、すでに$800K(9600万円)の元本と利子の支払いが行われていて、いまのところまだデフォルトはないようです。貸出期間は6ヶ月〜12ヶ月、1ローンあたりの貸出金額は$50K(600万円)〜$100K(1200万円)というのが主流で、現状では商業施設ではなく住居関連の不動産開発のみが対象のようです。Lend Academyのインタビュー記事によると手数料徴収後の個人投資家の取り分は年利換算で12%を超えているそうなので、かなり良いですね。また最低投資金額はなんと$10(1200円)だそうです。
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肝心の今回のReg A+での募集要項ですが、7案件それぞれのローンに対してLRO(Limmited Resource Obligation)という債権のようなものを発行されており、投資家は自分が投資したい案件を選んで該当するLROを購入することで個別のローンに投資を行うことができます。一見バスケット型のようですが、実際は個別選択型になっています。
個別のローンの返済金や金利がLROの保有比率に応じて支払われ、開発対象の物件には担保も設定されているようなので、まさにこの前取り上げたばかりの不動産事業者向け不動産担保ローンとそっくりですね。今回は7案件合計で$545K(6500万円)のローンを提供するための登録になっています。

GROUNDFLOORに投資家登録すればネットでも詳しいデータが閲覧できるんだと思いますが、Reg A+の目論見書でも個別の貸出案件についての詳細情報が掲載されています。貸付先事業者の名称はもちろん、貸付ローン金利、担保物件の住所と地図、物件の中の様子なんかも1件ずつ確認できるようになっていました。もちろん手数料についてもガラス張りです。このあたりの情報開示はさすがというところです。ちなみに今回のローン金利は6.4%〜19.4%まで様々です。
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目論見書の8ページ目と9ページ目に案件概要の一覧が、後半の添付部分にはProject Summaryとして個別物件の詳細データが記載されていますので米国不動産に興味ある人は眺めてみると良いかもしれません。


おそらく今後も複数案件ごとにReg A+を登録していくのだと思いましが、どの程度の頻度で案件が出てくるのかに注目です。
また、前回見たとおり「不動産事業者+不動産担保」の組み合わせの場合、不動産市況が落ち込むと、ローン返済が一斉にアウトかつ担保も棄損という可能性があります。サブプライム危機を経験した米国ですが、危機から8年を経過した現在個人投資家がどの程度積極的に参加するのかも注目です。
もしデフォルトが出たら、その影響がどの程度になるのかも興味深いです。きっと日本より先に米国でデフォルトが発生しますよね、金融緩和も終了しそうだし。


日米不動産レンディング比較(1)ーRegulation A+:米国版株式型クラウドファンディング第1号-

3ヶ月ほど前に、米国中小企業オンンラインローン企業であるOnDeckの紹介記事(こちら)で日米ソーシャルレンディング・オンラインレンディング比較について、「米国では個人投資家が中小企業ローンアセットへ出来ないのに対して日本ではソーシャルレンディング投資を通じてアクセスできるようになった」とコメントしました。実際消費者ローン向けオンラインレンディング(P2PとかMarketplace)では圧倒的に米国が進んでいますが、その時確認した範囲では中小企業向けローンオンラインレンディング(BusinessとかSMB)に関しては基本的に機関投資家向けのサービスしかみあたりませんでした。さらに言うと、例えば消費者ローンであっても学生ローンのオンラインレンディング企業として著名なSoFiは適格投資家でないとレンダーとして参加できないように、大部分のオンラインレンディングサービスは消費者ローンか中小企業ローンを問わず、機関投資家向けのサービスがほとんどで個人投資家が参加できるメジャーなプラットフォームはレンディングクラブとプロスパーくらいしかありませんでした。

最近、米国で新しい動きがあり、米国でもいよいよ中小企業ローン、それも日本ではお馴染みの不動産事業者向けローンを個人投資家向けに提供を始める企業が出始めています。興味があったのでシルバーウィーク期間の家族サービスの合間にちょっと調べてみましたのでご紹介します。

サービスを開始した企業の一つはGROUNDFLOORです。プレスリリースCEOのブログを見るとこれまでジョージア州でパイロットテストを行ってきたが、SEC(証券取引委員会)からRegulation A+第一号の認可を受けることになり、カリフォルニア州をはじめとする8州で新しくサービスを開始することになったようです。
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Regulation A+(以降Reg A+)って聞いたことありますか?私はなかったのでちょっと調べてみたところSECのプレスリリース「SEC Adopts Rules to Facilitate Smaller Companies’ Access to Capital」がというのがそれのようです。「小規模企業の資金調達促進ルールの採用」みたいな感じですが、要は「米国版株式型クラウドファンディング」のことみたいです。未上場企業が株式発行による公募を行う場合、これまでは適格投資家(Accredited investors:年収$200K(2400万円)以上か、資産$1M(1億2000万円)以上で届け出ている投資家)のみが対象として認められていましたが、今後はReg A+要件をクリアすれば適格投資家以外の個人投資家を対象に公募を行うことが可能になります。

調達金額の上限によってTier-1(向こう12ヶ月で最大$20M(24億円))とTier-2(向こう12ヶ月で最大$50M(60億円))に分類され、より多く調達が認められているTier-2の場合、監査済み財務諸表やアニュアルレポート等の提出が義務付けられています。規制対応関連の費用は相応にかかることになりそうですが、実際GROUNDFLOORの場合で昨年の規制対応関連コストは$380Kかかっているようです。さすがにこれは高過ぎると思いますのでReg A+関連以外のものも含まれているのでしょうが、一定部分はReg A+に関連する費用でしょうから決して低くはありません。SECとしても企業側の負担を考慮して一定規模の調達まではその義務が免除されています。別の見方をすると、調達企業に不正があった場合に社会的な影響が大きくなるラインをSECが年間$20Mとみているというメッセージとも受け取れます。

2015年9月、GROUNDFLOORはSEC Reg A+の第一号承認を取得したとアナウンスしました。

ソーシャルレンディング投資のリスク管理は難しい(2)ー期限付き不動産ファンドの難しさー

前回の続きです。

◯期限付き不動産ファンドの難しさ

今回クラウドバンクで延滞を起こしている貸付先はおそらく同一の不動産事業者だと思われます。個人的に経験している8月以降の不動産関連売り込み電話の減少と併せて考えると、不動産市況に変調が出てきている可能性も感じています。少なくとも中国経済の見通しが不透明になっていることは影響していると思います。中国投資家の需要の減少や換金のため売り圧力の増加といった直接的な影響だけでなく、「中国投資家の不動産爆買をあてにできなくなる」という懸念は日本の投資家の投資動向にも影響すると思います。まぁ実際のところは「本当に変調が始まっている」のか、それとも「いまだに力強く推移している」のか、もし変調があるとしても「一時的な変調」なのかそれとも「構造的な変調」なのかは分かりませが、今回の件は「期限付き不動産ファンド、特に不動産事業者向けのファンドの難しさ」を考えるきっかけになりました。

私が投資している不動産担保ファンドの場合、不動産事業者の買い付け資金や運転資金を賄うファンド(maneoとクラウドバンク)と不動産担保前提に貸出を行う貸金業向けのファンド(SBIソーシャルレンディング)があります。前者の不動産事業者向けのファンドの場合、貸付先事業者の事業動向と不動産担保の価値が両方不動産市況に連動していることを認識しておく必要がありそうです。他方、不動産担保の貸金業向けであれば、ある程度不動産市況と連動性はおさえられそうです。

いずれの場合も担保価値の測定は市況をベースにしていると思いますが、市況が良い時に設定されている担保の価値は過信できません。特に不動産事業者向けのファンドの場合、不動産担保がその効力を発揮する時はその価値が設定時点よりも棄損していることが多くなると想像できます。例えば12ヶ月のファンドの場合、12ヶ月後の不動産市況が良ければ不動産事業者の事業も順調で予定通り返済される可能性が高く担保はあってもなくてもあまり関係がありません。一方、12ヶ月後の不動産市況が悪くなっていると不動産事業者が返済できない可能性が高くなります。事業者が返済できないほど市況が悪くなっているのであれば肝心の担保不動産の価値も大きく下がっている可能性が高そうです。かなり極端ではありますが、数年前のミニバブルの崩壊のときの東洋経済の「都心の不動産バブル崩壊、地価は最大40%下落も」みたいな記事も頭の隅っこの方には入れておいても良いかと思います。

現在の東京はまさにこの数年前のミニバブルの再来という声を聞くことが増えています。マンションに関しては海外投資家だけでなく、相続税対策での需要が旺盛であるという記事を頻繁に見かけます。オフィス系についても同様なようで、今年の6月に某オフィス系REITの運用説明会に参加した際に聞いた「最近はかなり強気の買い付けする企業が増えている」「上がっている間は良いが、みんな売り抜けるつもりでやっているのでババを掴まされないように慎重に投資していく」といった発言が印象的でした。よく言われることですが昨今の不動産は実需ではなく投資で価格が上がっている状況のようです。もし既にミニバブルに入っているとすると、今後設定される担保価値は額面通りは受け取れないということを意味します。万一ファンド運用終了がミニバブル崩壊で市況が大幅に悪化しているタイミングにあたってしまうと、担保がついていたとしても元本も相応のダメージをうける可能性がありそうです。

市況が悪ければ無理に安値で売却せずに市況が好転するのを待つというのもひとつの対応策です。しかし期限付き不動産ファンドへの投資の場合他の不動産アセットと違って市況の好転を待つという手法が取れない(少なくとも自分の意志ではできない)ことも投資判断を難しくします。保有期間を自分で決めることができるという点ではREITの方が優れていますね。

もう一個。maneoに関してはほとんど投資を引き上げたのですが、唯一残っているファンドが不動産担保付で、ある会社に総額12億円の貸付を行う複数ファンドのうちの一つになっています(最近は見てないので分かりませんが以前はmaneoではよくありました)。担保設定(第二抵当)はされていますが、もし市況が悪く返済不可の場合に担保価値が大きく下がっている可能性は十分ありそうです。こういう複数のファンドにまたがって貸付を行っていて、担保価値がファンド元本返済をカバーしきれない場合はどういう優先順位になるのでしょうか。例えば1000万円のファンド5本で5000万円貸付けていた案件がデフォルトしてかつ担保価値が4000万円に減っていた場合、5つのファンドが一律80%しか返ってこないのか、それとも何かしらの傾斜配分があるのか。同じ貸付先でも期間や金利に差がある場合がありますのでその場合は傾斜があってしかるべき(期間が短い、または金利が低いファンドの方から返済していくべき)だと思いますがこのあたりはどういう取り決めになっているんでしょうか。このへんは調べきれてませんが現状のような高値づかみの恐れがある環境では意識しておいた方が良さそうです。

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日本人は不動産担保を重視すると言われており、ソーシャルレンディングでも不動産担保付ファンドは人気があります。実際、担保がないよりもあったほうが良いのは確かなのですが、担保価値が過大評価されるリスクや特定の業種(不動産事業)に貸付が偏る(その市況が悪くなるとまとめてみんな駄目になる可能性もあります)リスクをきちんと認識して投資していきたいものです。
私の場合、不動産に関しては既に現物資産を保有しているので、不動産関係のアセットに積極的に投資するつもりもなく、ソーシャルレンディングでも不動産担保の有無はあまり気にしていませんでした。しかし実際のところ不動産担保があっても期限付きの不動産事業者向け投資ファンドは難しそうだと今回改めて感じました。今後は不動産事業者向けファンドは1ファンドあたりの上限(10万円)に加えて、投資合計額の上限も設定しようと思います。


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