実践ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングを中心に資産運用全般について。分散投資でリスクを抑えながら、インカムゲインとキャピタルゲインを目指します。

2015年01月

ソーシャルレンディング企業の経営陣と株主構成 ーAQUSH(2)ー

◯株主構成

AQUSHの運営会社であるExCoのホームページによると資本金はおよそ1億5千万円ですがその株主構成は公開されていません。
一方ネットで確認すると2014年7月に新しい金融サービス「Paidy」のローンチに向けて3億3千万円の増資を行ったとのニュースがリリースされています。出資しているのはArbor Ventures(香港のVC)、サイバーエージェント系列のVC、リクルート系列のVCです。香港のVCはよくわかりませんが、後はなかなかの顔ぶれです。
さらに調べてみると、ベンチャー向けのリクルーティングプラットフォームであるWantedlyに企業紹介と人員募集が出ていました。こちらで確認すると社員は既に16名(ExCoのホームページでは社員は7名)になっており、さらにIT系のエンジニアを10数名採用しようとしているようです。
Paidyはクレジットカードを使わずにメールベースでオンラインショッピングの決済を行うサービスのプラットフォームの提供を目指しているようです。代表取締役のカマー氏の華々しい経歴を鑑みるとこの新しい金融サービスの立ち上げに入れ込みそうな気がしますし、どうもExCoはPaidyに今後の成長を賭けているように見えます。 

ExCoの増資は経営の安定につながるはずなので本来であればAQUSHの投資家にとっては望ましいと思われますが、実際のところこの状況は好ましいとは思えません
Paidyがうまく軌道に乗ってもAQUSHの投資家は特に得るものはありませんが、万一Paidyがうまく立ち上がらずExCoの経営に悪影響を与えた場合はAQUSHへの投資元本が棄損する危険があります。金融機関の判断と思えず、法務・コンプライアンスが手薄で前のめりな経営陣構成の悪影響を感じます。
本来ExCoの経営をチェックしてくれると期待されるVCもAQUSHの成長ではなくPaidyの成長を期待して出資しているため、AQUSH投資家の保護にプラスになるとは考えられません

ExCoおよびAQUSHのホームページはPaidy向けの出資受け入れ以降会社概要が更新されていません(3.3億円の増資やPaidy事業についてすらホームページでは何ら触れられていません)。実際AQUSHの投資家の方は、ExCoが出資を受けてPaidyという新事業へ乗り出していることを知らない方は少なく無いと思います。運営企業の状況が投資判断上重要なポイントであるにもかかわらず重要な経営方針の転換の情報がないという、投資家への情報提供を怠っている姿勢はいただけません。 Paidyが立ち上がるかどうかは私には全くわかりませんし、増資で資本強化されてますので向こう2〜3年は財務的にも大丈夫だと思います。ただ、今のExCoの姿勢はAQUSH投資家をあまりにも軽視しているとしか思えず、現状では安心してAQUSHのファンドへ投資できません

AQUSHのファンドは運用期間3年なのでとりあえず元本配当自動再投資はオフにしています。現状国内で唯一のLedningClubへの窓口なのでできればグローバルファンドだけでも投資を継続したいとの思いもありますが、投資の安全性がPaidy事業の行方に左右されかねないというのはあまりにも腑に落ちません。
ExCoとしてソーシャルレンディング以外の事業に進出するのであれば、少なくともAQUSH投資家に影響がないスキームを作って投資家へその旨説明した上で実施して欲しいです。非常に残念。

ソーシャルレンディング企業の経営陣と株主構成 ーAQUSH(1)ー

今回はアルファベット順に見ていきます。まずAQUSHから。

AQUSHを運営しているのは株式会社エクスチェンジコーポレーション(以下ExCo)です。AQUSHのホームページとExCoのホームページで各項目を確認してみましょう。

◯経営陣
AQUSHのホームページ上で以下の3名が経営陣として経歴が紹介されています。

ラッセル・カマー氏
米国投資会社のメリルリンチ香港やゴールドマン・サックス東京でデリバティブや債権を扱っていたという経歴が紹介されています。経歴的にはベンチャーキャピタルや出資者に対してのコネクションがありそうです。LendingClubとの提携を実現させてAQUSHグローバルファンドとして販売した企業のトップのイメージぴったりのキャリアですね。

澤田樹徳氏
この方は三井銀行:国際金融部→さくら銀行:上海副支店長→三井住友銀行:霞ヶ関支店長といった経歴が紹介されています。どちらかというと国際金融に精通されているような印象を受けます。

リー・スミス氏
システム構築のプロとして紹介されています。ExCoのホームページによるとシンガポールのIT企業出身とのこと。CIO的な役割を担われているのでしょうか。

メンバー構成的に国内金融よりも海外金融に強みがありそうです。海外の先進的なモデルを国内に持ち込んだり、海外の企業との提携で新規事業を行うのに良いように見えます。一方で国内での地道な融資先の開拓は不得手かも、という印象です。現状のAQUSHがグローバルファンド中心の運営になっているのも首肯ものです。

◯取締役
代表取締役がカマー氏、他に澤田、スミス両氏も取締役に就任しています。外部取締役は記載なし、つまり経営陣=取締役ですね。
監査役としてロバート・リーという名前がありますが、こちらについては経歴等については説明がありません。体制上経営チェックは監査役のロバート・リー氏が担っていることになりますが、実質的には株主であるベンチャーキャピタルがチェックを行うことになるのでしょうか。

経営陣=取締役の顔ぶれを見ると、新しいビジネスモデルの立ち上げやグローバルな提携に強みを発揮しそうな顔ぶれです。
一方、金融業なのに役員にコンプライアンス関係のメンバーがいない点は気になります。監査役のリー氏の経歴がわからないので断言はできませんが、金融庁や証券等監視委員会対策が不十分だとリスクがありそうです。

次回に続きます。

ソーシャルレンディング企業の経営陣と株主構成

これまでにふれている通り、国内のソーシャルレンディング企業の経営状況は投資家にとって死活的に重要な項目です。なにせ運営企業が破綻した場合、元本が既存する可能性が高いですから。

通常、企業の経営状況を確認するには公開されている財務情報をチェックするのが常套手段です。しかしソーシャルレンディング企業が公表している財務情報は第三者のチェックを受けているかどうかわからないものがほとんどなので、どこまで信用できるのかがわからずあまり参考にできません。
では他に参考になるものはないでしょうか。
------------------------------------------------------------------------

私はIT業界で仕事をしていますが、そのほとんどの期間は米国に本社のある企業の日本法人の社員として働いています。ベンチャーから大手まで、転職も複数回経験しています。転職を検討している場合、よさそうな企業があれば製品や財務上状況に加えて必ずチェックする項目があります。特にベンチャー企業への転職の場合により重要な項目です。

◯Executive Team(経営メンバー)
経営陣の経歴や実績が記載されています。キーになるメンバーがその業界で十分な実績があるかや、経営陣の構成が極端に偏っていないか等が確認できます。またCEOが創業者のままかプロの経営者に交代しているかなども確認します。
◯Board of Directors(取締役メンバー)
米国の場合、経営の執行と経営の監督は明確に分離しているので経営メンバーで取締役になっているのはCEOと創業者くらいです。それ以外の取締役に経営のプロやその業界の著名人がいるのかといった事が確認できます。
◯Investors(株主構成)
日本を含む海外マーケットに進出するベンチャーはほとんどの場合ベンチャーキャピタル(以下VC)が出資しています。著名なVCが出資している企業は一般的に成功する可能性が高い傾向があります。成功経験のある経営陣のコネクションや、出資している企業同士を提携させて相乗効果を引き出したりすることに長けています。有名なところでは老舗のセコイアキャピタル。最近ではAndreessen Horowitzというネットスケープの創業者が経営しているVCが好調です。
------------------------------------------------------------------------

ソーシャルレンディング投資においてソーシャルレンディング企業の経営状況が重要なポイントの一つだと認識していらい、経営メンバーや株主構成にかかわる情報を確認するようにしています。企業によって情報の提供の度合い差がありますが、公開されている情報以外にもネットで検索できるものもあります。
私の場合、ソーシャルレンディング企業の確認あたっては以下の様な視点で見ています。

経営陣:主要メンバー、特に代表取締役の経歴や実績は業界に適した内容になっているか
取締役:外部取締役による監督が期待できる構成になっているか、経営のプロが加わっているか
株主構成:第三者の出資を受け入れているか、ベンチャーキャピタルが出資しているか、親会社の事業内容はどういったものか

これらの視点で各社を見ていくと、思いがけない発見があり投資判断の上でも一助になっています。
次回から各社の情報を取り上げます。

メッセージ

名前
メール
本文
ランキング
記事検索
最新コメント
プロフィール

おしょわ

  • ライブドアブログ