前回紹介した『The Business of Venture Capital』のオルタナティブ資産の解説から、個人的に参考になったところをいくつか紹介したいと思います。もっとも、オルタナティブ投資に関する情報は基本的に機関投資家向けのものがほとんどで、個人投資家としてそのまま流用できるわけではありません。その点は予め留意ください。

まず、オルタナティブ資産をポートフォリオに加える効果について。
オルタナティブ資産がポートフォリオに与える影響について、2003年-2012年の10年間のデータをもとにして計算されたシャープレシオとリターンが掲載されていました。(データソースは2014年のステート・ストリートとフレッチャー大学の共同研究の記事)
VC
引用「The Business of Venture Capital」Mahendra Ramsinghani


ケース1・(グローバル)株式:債権:オルタナティブ 8.21%(シャープレシオ・0.5)
ケース2・(グローバル)株式:債権(60%:40%) 7.11%(シャープレシオ・0.42)
ケース3・(米国内)株式:債権(60%:40%) 4.86%(シャープレシオ・0.25)

ケース1については資産比率についての言及がなく、オルタナティブ資産にどの程度投資した結果なのかが分かりません。このため単純にコメントは出来ませんが、オルタナティブ資産をポートフォリオに加えることでリターンだけでなくシャープレシオも改善しています(シャープレシオが高いほど、リスクあたりのリターンが高く効率が良いということになります)。オルタナティブ資産をポートフォリオに追加することは「資産クラスの分散効果」があるということですね。

続いてオルタナティブ資産と呼ばれる金融商品の構成要素について。
『The Business of Venture Capital』ではオルタナティブ資産を構成する要素として以下の4つのクラスが挙げられています。
  • Real Estate, Infrastructure(不動産:REITや不動産ファンド)
  • Hedge Funds(ヘッジファンド)
  • Commodities(商品:エネルギー、農作物や商品先物)
  • Private Equity(プレイベート・エクイティ:各種未上場株ファンド)
これらのうち個人投資家に馴染みがあるのは不動産くらいでしょうか。もっとも、ここでは機関投資家の資産分析なので、不動産といっても現物不動産というよりREITや不動産ファンドなどの金融資産としての不動産のことを意味しています。「不動産市況から大きな影響を受ける金融商品」という点が共通している不動産系のソーシャルレンディングファンドはこのクラスに属す商品という見方ができるかな、と思います。

ヘッジファンドは、最低預け入れ金額の高さや日本国内からのアクセスの難しさから個人ではハードルが高いですね。2000年代前半、ヘッジファンドのMAN社がその名を轟かしていた頃に投資検討したことありますが、調べてる途中で面倒になってやめてしまいました。日本で買えるヘッジファンド関係の商品としては、FoF(ファンド・オブ・ファンズ)で複数のヘッジファンドに投資する商品もありましたが、手数料高すぎで触手が動かなかった記憶があります。リーマンショック以降の金融緩和で市場が安定的に成長してきたこともあり、ここしばらくはヘッジファンドのパフォーマンスも見劣りするようになっていきているようですが、そろそろ市場で波乱があってもおかしくなさそうの気もするので、個人投資家としてヘッジファンドに投資する方法についても調べてみようかな、と少し思っています。

商品については、少し前には太陽光発電ファンドなどがありましたが太陽光電力の買い取り価格の低下に伴い新規の組成は下火になってきています。ただ、ソーシャルレンディング商品で、エネルギー関係のファンドはこのクラスに属している商品とみなすことができると思います。

4つのうちで個人投資家に最も馴染みがないのがプライベート・エクイティ(以降PE)でしょうか。PEの文字通りの意味は「未上場株式」で、PEファンドというと「未上場株式へ投資するファンド」ということになります。

次回はこのPEクラスの金融商品とソーシャルレンディング商品の関連について見たいと思います。