前々回オルタナティブ資産を保有することでリターンが向上する可能性について見ましたが、その際にはアロケーション比率については言及がされていませんでした。実際にはどの程度の資産をオルタナティブ資産に割り当てるのが良いのでしょうか。

アセットアロケーションの重要性については目にされる機会も多いと思いますので詳細は割愛しますが、ざっくりいうと「資産クラス内の個々の投資銘柄・商品選択よりも、どの資産クラスにいくら割り当てるかを適切に設計するほうが全体のパフォーマンス(ポートフォリオのリスクとリターン)に大きな影響がある」という考え方です。

オルタナティブ資産のアロケーションに関して何かしらガイドになりそうな情報がないかと探したところ、公益財団法人資本市場研究会が発行している「月刊資本市場(2017年9月号)」の「年金運用とオルタナティブ投資」というレポートで、2006年から2015年のCalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金:機関投資家として世界的に著名な存在)を含む米国地方公務員年金のアセットアロケーションの推移がまとめられていました。
Trend
樺山和也「年金運用とオルタナティブ投資」より引用

このデータを見ると、オルタナティブ資産は2012年まで比率の増加が続いて、以降はざっくり
株式50%:債権25%:オルタナティブ資産25%
で固定されている感じです。

このデータだけだとオルタナティブ資産25%の内訳が分かりませんが、『The Business of Venture Capital』に2011年のCalPERSのアセットアロケーションについて
株式54%:債権23%:不動産7%:オルタナティブ資産14%
というデータがありました。オルタナティブ資産のうち1/3が不動産で2/3がそれ以外のオルタナティブ資産という比率です。これを先程のデータに当てはめると
株式50%:債権25%:不動産8%:オルタナティブ資産17%
くらいの感じでしょうか。

肝心のリターンの方ですが、先述のCalPERSはリターンを公開しているので、そちらで確認してみたいと思います。先程とありあげた2015年についてCalPERS2015年度のレポートによるとファンド全体のリターンは2.4%となっています。株式が1.0%、債券が1.2%と低い値で推移する中、不動産が12.4%、PEファンドが8.9%という高いリターンを上げたことによってファンドのリターン向上に寄与しているのが確認できます。
CalPERS
「CalPERS Reports Preliminary 2014-15 Fiscal Year Investment Returns」より引用

また、各資産クラスのリターンを1年、3年、5年、10年単位で測定した結果が2017年度のアニュアルレポートに掲載されています。

CalPERS2
「Comprehensive Annual Financial Report Fiscal Year Ended June 30,2017 」より引用

ポートフォリオ全体としては4.4%〜11.2%のリターンです。
資産クラス別にみると株式が4.3%〜19.8%のレンジで推移するのに対し、債権は0.3%〜6.5%です。一方PEは8.1%〜13.9%、不動産は−0.9%〜10%となっており、PEが比較的安定したリターンなのに対して、不動産はサブプライムショックの影響の不動産下落で影響を受けていはいるもののそれを除けば7.4%〜10%と比較的安定しています。
相対的な動きのレンジで見ると、

株式:ハイリスク・ハイリターン
PE・不動産:ミドルリスク・ミドルリターン
債権:ローリスク・ローリターン

というのが確認でき、「株式+債権」のポートフォリオよりも「株式+債権+オルタナティブ資産」のポートフォリオの方がリスク・リターンが改善するというのもうなずけます。

次回に続きます。